若い時は考えもしなかったことが、年を重ねていくと考えるようになるものです。膝の痛みもその一つです。ランニングが趣味の私自身も、何を隠そう右ひざ裏が痛みます。このページを読む方の多くは40歳以上でしょう。システマティックレビューとメタ解析によるリスク分析なので精度は高い研究ですのでご参考ください。


何度もご紹介しています、この図。エビデンスと一言で言ってもピンからキリまであります。昨今のコロナ専門家委員会ってエビデンスレベルは一番低い。結果は皆さんご存じの通りです。この研究は信頼度の一番高い、希少価値の高い研究です。
ハイリスク群 建設関連業や農業などに従事する人


シドニー大学や英オックスフォード大学、英サウサンプトン大学の研究グループによる論文が、「Arthritis Care and Research」2020年7月7日オンライン版に掲載。
適格基準にマッチする25件の症例対照研究、36件の横断研究、19件のコホート研究を含む80件の論文を抽出
そのうち71件の研究(解析対象者数約100万人)のデータを統合してメタ解析を実施。
【結果】デスクワーク中心の職業に比べ身体的負荷の高い職業では、変形性膝関節症発症の1.52倍リスクアップ。また、膝立ち、しゃがむ、立つ、物を持ち上げる、階段を上るなどの姿勢や動作を頻繁に求められる職業は、いずれもリスクを増大させる。
Occupational Risk in Knee Osteoarthritis: A Systematic Review and Meta‐Analysis of Observational Studies
職種ごとの変形性膝関節症への影響
- 大工、れんが職人、床張り職人は、デスクワークに比べ、変形性膝関節症になるリスクが約3倍
- 農業従事者は、変形性膝関節症のリスクが最大で64%高く、建設業従事者の63%よりもやや高い
- 家事にもリスクがあり、変形性膝関節症リスクが最大で93%高くなる
- 膝への負担が少ない業種もあり、例えば、商業、林業、漁業、機械工、配管工、電気技師、技術者、郵便職員などでは、統計的に有意なリスク増大は認められない
これらのことから、著者らは肥満、運動不足を避けて、ヨガやストレッチなどを日常的におこない、発症リスクを下げることを提案している。
欧米では変形性膝関節症が原因で離職することも珍しくなく社会的損失に直結するため、行政をあげて取り組む必要があるとしている。遺伝的な要因もあるけれど、各個人でできることもあるので、大工さんや床職人の方は、早め早めに対応していきましょう。
膝を立てたり、膝キックをしたり
私は昔派遣のアルバイトで床職人の方のお手伝いや、搬入の手伝いをしていた時期があります。同僚で床職人になった方もおります。
また1夏ですが、高原野菜の収穫アルバイトも経験しています。住み込みで食事つきですが、朝から晩までひたすらレタスや白菜を収穫しつづける過酷なアルバイトです。
いま私はカイロプラクターとしての意見は、繰り返し骨や結合組織に負担をかける床職人は、物理的にダメージが蓄積して、微細な炎症が日々起きることで、炎症部が骨化して関節の形状が時系列とともに変わってしまうのだと考えられます。
農家で言えば膝をついたり、膝を曲げたり、かがんだり、直立姿勢でいる時は腰を伸ばす時だけ、といった具合に節々にかなり負担のかかる大勢が多かったです。
論文著者は「運動不足を避け」「ヨガや柔軟体操」を勧めていますが、職人さんや、農家の職業柄、ノリ的に心理的なハードルが高いことが懸念されます。職人さんはガテン系でしかも日々肉体を酷使しています。農家の方は繁忙期以外にヨガに取りくむことは可能かもしれません。
おそらく職人さんでこれを読む方は、ある程度年齢のいった方だと思います。後輩指導の一つに、ヨガやストレッチといったことの重要性を今から始めてください。照れくさいですけど、業界の維持発展の為に、次世代に良い習慣を残していきましょう。
農家の方ももしかしたら、文化を変えていくことで就業率が上がる可能性もありますし、一か所でも参考になれば幸いです。










