気持ちがいいマッサージは筋肉内で何が起きている?
慢性腰痛の方がマッサージを選択する場合も一般的に多くあると思います。昔から行われてきたことなので当然効果があるものなのでしょうけれど、西洋医学的な観点で研究はされてこなかったようです。
運動後のデータでみる筋肉内の細胞の変化
激しい運動後のマッサージは細胞レベルで炎症が抑えられる
激しい運動の後にマッサージを受けると、気持ちがよいだけでなく、細胞レベルで筋肉の炎症が軽減することが明らかにされました。
「マッサージによって骨格筋のミトコンドリア(細胞のエネルギーを産生する「発電所」)の増殖が促進されると考えられる」と、米バックBuck加齢研究所(カリフォルニア州)およびカナダ、マックマスターMcMaster大学(オンタリオ州)の研究グループは説明している。
これは激しい運動の後の研究なので、運動してない状態でのマッサージにそのような効果があるかは定かではありません。
詳細:大腿四頭筋の分析によるとミトコンドリアの増殖
今回の研究では、男性11人にエアロバイクで限界まで運動してもらった後、大腿四頭筋の筋組織検体の遺伝子分析を実施。運動の後、各被験者の片方の脚にマッサージをして、運動前、10分間のマッサージの直後および運動終了から2.5時間後に両脚から組織検体を採取した。
その結果、マッサージによって筋細胞内でサイトカインと呼ばれる炎症性蛋白(たんぱく)の活性が減少し、新たなミトコンドリアの増殖が促進されることがわかった。
抗炎症薬と同じ作用の可能性
運動後にマッサージを受けると筋肉痛が軽減することは多くの人が感じていることだが、「この痛みの軽減には、一般的な抗炎症薬が標的とするものと同じ機序が関与していると考えられる」とバック研究所のSimon Melov氏は説明し 「マッサージが快適であることは誰もが認めるが、今回、この経験に科学的な裏づけが得られた」と述べている
慢性腰痛に対するマッサージ効果
2011年に下記のような研究がようやくでているようで、研究結果が出ていないだけで効果的なものは幾らでもあるような気もしてきます。
今までのほとんど研究では、マッサージの効果を慢性腰痛のために評価しませんでしたが、RCT(マッサージ術者の盲目化はされていない=研究レベル3)によって、機能的な回復はほとんどないものの痛みに関しては有益な効果が少しは見込めることがわかりました。
(Ann Intern Med July 5, 2011 Daniel C. Cherkin, PhD; Karen J. Sherman et at al)
医療現場に役立つ
筆頭著者であるマックマスター大学のMark Tarnopolsky博士は、「マッサージの潜在的ベネフィット(便益)は、高齢者、筋骨格を損傷した患者、慢性炎症性疾患患者など、幅広い人々に役立つ可能性がある」と述べ、
「今回の研究は、医療現場においてマッサージのような手技療法(manipulative therapy)の正当性を示す根拠となるものである」と付け加えている
(医学誌「Science Translational Medicine(サイエンス ・トランスレーショナ ル医療)」オンライン版に2月1日掲載)
カイロプラクティックの手技でも
カイロプラクティックの施術でも当然筋組織への手技が行われます。当院では充分に時間をかけて筋操作が行われますので、マッサージ的な効果も期待していただいて構いません。