私がカイロプラクティック臨床を始めるきっかけとなった「心理的苦痛」と実際の臨床で出会う機会の多い「腰・首・背中の痛み」の関連を示す貴重な研究です。両者はどのように併存し、回復するのかを解説します。
背骨の痛みと精神的苦痛は関連する
頚部や腰部の疼痛と精神的苦痛との相互作用に関する理解は、公衆衛生の観点から重要ですがまだまだ研究は少ない。
スウェーデン・カロリンスカ研究所のKari Paanalahti氏らは、大規模な地域住民を対象とした研究を行った。


脊椎痛、つまり背骨に関連する痛み=腰痛、首痛、背中の痛みと心理的苦痛がどれくらいの割合で存在するのか?
そして追跡すると、回復、悪化、どちらか一方から、併存へ移行する率などが調べられた。貴重です。ストックホルム(スウェーデン)での調査になります。ほんとに貴重な研究です。
併存患者の回復率は低い
約2万人への調査でわかった背骨の痛みと精神的苦痛の関係
無作為に抽出したスウェーデン、ストックホルム在住の一般住民1万9,774人(18~84歳)を対象
調査開始時(2002年)および追跡調査時(2007年)に、郵送にてアンケート調査
調査開始時における脊椎痛と精神的苦痛が両方ある率は、女性で11%、男性で4%だった。
首痛のみ、腰痛のみ、精神的苦痛のみ いずれも女性のほうが多い
次に調査開始時における単一の症状は
・脊椎痛のみ(首や腰の痛みのみ)の有病率は女性20%、男性14%
・精神的苦痛のみの有病率はそれぞれ女性15%、男性12%でいずれも女性で高率。
追跡調査時5年後 回復は併存状態だと良くない
・脊椎痛と精神的苦痛が併存していた場合(女性26%、男性27%)が回復
・脊椎痛のみだった場合(女性41%、男性44%)が回復
・精神的苦痛のみだった場合(女性49%、男性52%)が回復これをみても分かるように、併存していると回復率が低い。
調査開始時に脊椎痛だけの人のうち
5年後に精神的苦痛も有していたのは女性24%、男性17%
調査開始時に精神的苦痛のみを有していた人のうち
5年後に脊椎痛も有していたのは女性24%、男性20%であった。
『結論】 併存疾患および単一の状態としての脊椎痛および心理的苦痛は、一般集団、特に女性の間で一般的です。併存症は、男性と女性の両方で回復に悪影響を及ぼします。この研究は、一般集団における脊椎の痛みと心理的苦痛との間の双方向の関連を確認している。
(Paanalahti K et al. Spine J. 2013 Nov 18)
分けて考えない
私は心身一如の精神を大切にカイロプラクティックケアを行ってきました。いろいろな思い、経験があります。先ず知って欲しいことは心の問題と、身体の問題を分けて考えないほうが良いということです。
人によっては、心の問題を見てほしくない人も居ます。ただ本人の中では、身体の痛みは心の痛みであるということを片隅にでも置いておいて欲しいのです。
そして臨床上大切なのは、併存に至るまでにはある程度時間があります。心の痛みか背中の痛みのどちらかであるときにしっかりとケアをしていくことです。
研究にあるように、心と背中の痛みが併存してしまうと回復25%ほどしか回復しないようです。当院ではカイロプラクティックケアと認知行動療法の両方を実践しています。両者は明らかにつながっていますから、軽視せず早め早めに対処していきましょう。










