腰痛管理に自己催眠療法も大事
海外では自己催眠訓練による慢性腰痛治療が行われているようで、真面目に医学的な論文として出されているようです。催眠術というと言葉は聞いたことあるけれど方法がわからないとか、ちょっと怪しいというイメージもあるかもしれません。
それでも昨今の「成功法則」や勉強法などにも少なからず取り入れられている方法だと思いますし、意識の方向性を変えたり、無意識を利用するという概念は一般的になっているのではないでしょうか。
日本人からするとビックリするような療法の医学的研究が海外では行われます。そういえばイグノーベル賞を毎年日本人が受賞していることを考えると、医学のブレークスルーも日本から産まれる可能性はあります。
実は既に慢性腰痛への催眠療法は有効性が証明済み
催眠術と催眠療法の明確な違いは私にはわかりませんが、催眠療法に関しては既に慢性腰痛への有効性は証明されていて、何回治療が必要か、家庭での催眠は必要か、催眠に掛かりやすい人とそうでない人の腰痛の減り方に差はあるか? といったことが検討されたようです。
たまに地下鉄のドア広告に「催眠療法による痛み、夜尿症、鬱など」への効果が謳われたシールが貼ってありますが、あれが、これにあたるのでしょうか?
気にはなっているものの、なかなか飛び込み取材はできないものです。私なんかは疑り深いほうですから、催眠にかかりづらい方かもしれませんが…
催眠による痛みの軽減は30%
それではどんな研究であったかを見ていきましょう。
慢性腰痛100人の退役軍人がランダム化された4グループのデザイン研究に参加しました。
Tan G, Rintala DH, Jensen MP, Fukui T, Smith D, Williams W. A randomized controlled trial of hypnosis compared with biofeedback for adults with chronic low back pain. Eur J Pain. 2015 Feb;19(2):271-80. doi: 10.1002/ejp.545. Epub 2014 Jun 17. PMID: 24934738.
グループは
(1)家庭での練習のための音声録音なしの8セッションの自己催眠トレーニング介入
(2)録音による8セッションの自己催眠トレーニング介入
(3)録音と毎週の簡単なリマインダー電話による2セッションの自己催眠トレーニング介入
(4)8セッションのアクティブ(バイオフィードバック)制御介入
結果: 4つのグループすべての参加者は、治療前後の痛みの強さ、痛みの干渉、睡眠の質の大幅な改善を報告しました。組み合わせた催眠グループは、対照グループよりも有意に多くの痛みの強さの減少を報告しました。3つの催眠状態の間に有意差はありませんでした。催眠術を受けた参加者の半数以上が、臨床的に意味のある(30%以上)痛みの強さの減少を報告し、治療後少なくとも6か月間これらの利点を維持
結論: 調査結果は、家庭での練習のための音声録音による自己催眠トレーニングの2つのセッションが、催眠治療の8つのセッションと同じくらい効果的である可能性があることを示しています。他の患者サンプルで再現された場合、調査結果は慢性疼痛管理のための催眠治療の適用に重要な意味を持ちます。
結果的には家で付属的に催眠をしても効果はない、催眠に掛かりづらいひとでも同様の効果がある。30%以上の疼痛減・それが6ヶ月以上持続しているという。
まあ市場原理というか、皆さんがそう思っていて、それで痛みが改善していけば、それはそれで悪い事ではないですものね。カイロプラクティックでもプラシーボ効果だろうと、さんざん医学会にいわれています。
それでも痛みが30%も減れば、薬よりも効果があると言えます。
学生の頃 同級生と催眠について笑いながらではありますが、真面目に催眠術を習いに行こうかと話あったことがあります。大事な要素であることは間違いないですね。
もっとも今となっては、臨床歴も10年を超えてくると、ある程度施術の自信がついてきて態度も大きくなってきている分、患者さんへの説得力が増し、催眠効果のようなプラスα効果が大きく働いているのかな?と思えることもあります。
人間自分のことは自分が一番良く解からないものですが、慢性腰痛がある人は『いつも痛みを見ている』『痛みを探している』状態であると私は思います。意識という観点からすると「痛みを見ない」「痛みを探さない」から「興味のあることを見る」「面白そうなことを探している」という意識になっていくのだと思います。
さあ、皆さんも自己暗示でもよいので、痛みの少ない生活を構築していきませんか?