腰痛患者にウォーキングを行ってもらった研究によると、第1級の証拠ではないもののある程度有効らしい。
「歩くのは腰痛解消にいいですか?」という質問は多い
難しく考えずに…
先ずは歩こうよ!
この記事は、2021年に加筆修正しているのですが、その後もウォーキングと腰痛の記事は出てきているようです。
慢性腰痛の48人の参加者を対象にランダム化比較試験
Suh JH, Kim H, Jung GP, Ko JY, Ryu JS. The effect of lumbar stabilization and walking exercises on chronic low back pain: A randomized controlled trial. Medicine (Baltimore). 2019 Jun;98(26):e16173. doi: 10.1097/MD.0000000000016173. PMID: 31261549; PMCID: PMC6616307.
参加者は4つのグループに分け腰痛への効果を比較
①柔軟性運動、②ウォーキング、③腰椎の安定化運動、④ウォーキングによる安定化グループ。
参加者は6週間の各運動療法を受けた。
結果は、4つのグループすべてで慢性腰痛は有意に減少。
腰椎安定化グループとウォーキンググループの2つでは運動頻度が大幅に増加。
腰椎安定化グループでは運動時間が大幅に増加。
仰向け、横寝、うつ伏せの耐久性は、ウォーキンググループとウォーキングによる安定化グループで大幅に改善
ウォーキングでは特に運動頻度が上がる、寝転んだ時の耐久性が特に上昇したようです。
メタアナリシスではどうか?
腰痛のウォーキングに関する4件の研究を分析したメタアナリシスだと、最高ランクの研究では効果が認められなかったものの、低~中ランクの3件の研究では効果が確認された。腰痛に対してウォーキングは有効である可能性を示唆。
1980年から2017年10月まで、6つの電子データベース(PubMed、Science Direct、Web of Science、Scopus、PEDro、Cochraneライブラリ)を検索。
結果:9件の 研究がメタアナリシスに適合。期間(短期、<3か月、中期、3〜12か月、長期、> 12か月)に従って分析。
低から中程度の質のエビデンスは慢性腰痛患者への歩行介入が、短期および中期のの両方で、痛みと障害の軽減に対して、他の非薬理学的介入と同じくらい効果的であったことを示唆
Sitthipornvorakul E, Klinsophon T, Sihawong R, Janwantanakul P. The effects of walking intervention in patients with chronic low back pain: A meta-analysis of randomized controlled trials. Musculoskelet Sci Pract. 2018 Apr;34:38-46. doi: 10.1016/j.msksp.2017.12.003. Epub 2017 Dec 12. PMID: 29257996.
やりましたね。低から中程度の質でありながら、メタアナリシスでウォーキングの効果が実証されたということです。
それにしても有難いっすね。一番簡単なウォーキングが腰痛に有効なら、こんないいことないじゃないですか!
ウォーキングで取り切れない腰痛は?
こういった比較対照研究は歩き方や、背骨の使い方、骨盤や股関節の使い方までは研究されていません。なんでしないのか?と問われれば恐ろしく費用がかかることですし、24時間日常生活を観察するのは現実的ではありません。
ある一定の方向に背骨が動かない、背骨の一部分の動きが悪いということは考察されていないので、効果が表れない方は、そういう部分をフィジカルトレーナー、ヨガの先生、カイロプラクターなどの専門家に診てもらったほうが良いと思います。
ただ歩くとか、座るとか無意識で行えるレベルの運動は脊髄神経が憶えています。つまり無意識に行われて同じ部分が動かない状態で動き続けているので、知らぬうちに筋を固めています。これをリハビリテーションすることで新しい使い方を少しずつ獲得していきます。
またこの10年ほどは、神経細胞の研究も進んでいるようで、何か行動をするときに末梢神経も同時に思考や運動制御のような今までは中枢が行っていたと考えられていたことも、末梢神経が行っているということが言われてきています。
何はともあれ、ウォーキングは腰痛の治療に有効だという低~中等度の証拠が見い出されたわけです。今後の研究によって確固たる証拠が得られることを願います。