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伊藤孝英
カイロプラクティックそのまんまサンシャイン院長
RMIT大学(ロイヤルメルボルン工科大学)日本校卒業。B.C.Sc(カイロプラクティック学士), B.App.Sc.(応用理学士)。従来の筋骨格系障害としての腰背部痛という観点から、生物社会心理的要因としての腰背部痛へとシフトチェンジしてマルチモデルで腰痛ケアをしています。鬱・不安などの気分障害で過度な薬物療法に疑問をお持ちの方もお気軽にお問い合わせください。
そのまんまサンシャイン公式ホームページ
筋骨格系の症状はもとより代替医療のセカンドオピニオンもお気軽に聞きにきてください。https://chirosonomanma.com

椎間板ヘルニアの固定術は手術中で最悪

2021年のシステマティックレビューで整形外科的手術は非外科的な方法に比べて優れているという根拠は少ないという結果がでています。ですから、タイトルにあるように脊椎固定術もまた優れてはいないということになります。

目次

整形外科手術、非外科治療に対する優越性の根拠は少ない

一般的な待機的整形外科手術の臨床的有効性を治療なし、プラセボ、または非外科的治療と比較した無作為化比較試験のメタ解析およびその他のデザインの試験のアンブレラレビューを実施。

関節鏡視下前十字靱帯再建術、関節鏡視下膝半月板修復術、関節鏡視下膝半月板部分切除術、関節鏡視下回旋筋腱板修復術、関節鏡視下肩峰下除圧術、手根管除圧術、腰椎除圧術、腰椎固定術、人工股関節全置換術、人工膝関節全置換術の10種を評価した。

その結果、無作為化比較試験の根拠から手根管除圧術および人工膝関節全置換術の非外科的治療に対する優越性が裏付けられた。人工股関節全置換術や半月板修復術を非外科的治療と比較した無作為化比較試験はなかった。残り6種の手術に関する根拠では非外科的治療を上回る便益は示されなかった。

神経根傷害と診断され固定術を受けると活動障害、長期欠勤、復職困難が増加

椎間板の変化、例えばヘルニアや突出への手術方法はいろいろあるらしいですが脊椎固定術という方法は、最も手術後の生活に影響を与えるようです。

手術室
手術の影響はいかに?

最近うちにいらしゃる患者さんで、手術を勧められたと仰る方は少ないです。これも時代の変化だとおもいます。スマホの普及とともに、ご自身で調べる方が多いです。いいことですよね。

ドクター

これもコインの表と裏で、自分で調べすぎてサイバー心気症になっている方も多いです。

自分で診断してから来院されるんです。悪くはないのですが、間違った情報が多い分野だと、どうかなと思うことも少なくありません。

脊椎固定術を受けた労災患者保存療法を受けた患者を比較した後ろ向きコホート研究によると、椎間板変性、椎間板ヘルニア、神経根障害と診断された労災患者の固定術は、活動障害、オピオイドの使用、長期欠勤、復職困難を増加させる。

腰椎の手術の中でもっとも費用対効果の悪い脊椎固定術はそろそろやめてもらいたいものです。腰痛診療ガイドラインの勧告に従った保存療法を試しましょう。

痺れに関してはもともと回復に時間がかかるものです。カイロのアジャストメントも大きな効果は期待しない方が良いです。

運動療法を中心とした保存療法で経過観察をしていきます。

慢性腰痛患者の脊椎固定術

整形外科でたまに行われる、脊椎固定術。術後は、永久(永続)的な身体障害に至る比率の高いことが、新しい研究で明らかにされたようです。

研究では、米オハイオ州で1999~2001年に職務中の損傷により慢性腰痛(3ヶ月以上つづく腰痛)となった労災認定患者の中から、脊椎固定術を受けた患者725人、運動や理学療法などの保存療法を受けた患者725人を無作為に選出

2006年の研究終了時、治療成績(アウトカム)のほとんどの項目で外科手術群の方が劣っており、2年後に職場(仕事)復帰していたのは手術群では4分の1、非手術群では3分の2だった。永久的な障害に至った患者は手術群では11%、非手術群では2%であった。

執筆者の一人である職業医学医のTrang H. Nguyen氏は、「脊椎固定脊椎固定術は、隣接する脊椎骨を1つに固定することによって背部の変性症状を治療するもので、1990年以降220%増加しているという。

女性の目
本当に恐ろしい事実だと思います

「今回の知見は、これまでの研究と一致するものであり、新しいものではない」とNguyen氏は付け加えている。

保存療法の立場としては、癌や骨折以外の場合は、脊柱固定術という外科手術は絶対にやめておいた方が良いですよとしか言いようがありません。もし提案されたら、他の方法を検討してみてください。

椎体固定術によって椎間板疾患患者の痛みは改善しない

カイロプラクティックを受けた事がない方は、諦めるか手術をするかの選択で悩む事があると聞きます。腰の手術にもいろいろありますが、今回は腰椎 および腰椎仙骨の固定術の治療成績についてです。

1979年~2000年の20年間に発表された腰椎および腰仙骨部の固定術に関する論文244件を調査した結果、固定術の技術が次々と開発されているにもかかわらず、椎間板疾患患者の治療成績は改善していないことが判明。

Bono CM, Lee CK. Critical analysis of trends in fusion for degenerative disc disease over the past 20 years: influence of technique on fusion rate and clinical outcome. Spine (Phila Pa 1976). 2004 Feb 15;29(4):455-63; discussion Z5. doi: 10.1097/01.brs.0000090825.94611.28. PMID: 15094543.

脊椎固定術を受けた患者6,677名の治療成績を検討したこの研究によると、様々な形のインストルメントを使用した場合の癒合率は90%、自家骨移植片を使用した場合の癒合率は84%と、両者間にほとんど差はありませんでした。

また、ぺディクルスクリューのインストルメンテーションや固定ケージのような新技術を用いたところで、患者の治療成績の改善は得られていません。固定術の選択かどうか悩んでいる方が読んでくださることを祈ります(-“-)

対照試験でラブ法と髄核摘出手術に差はでない

椎間板ヘルニアというと最悪手術を連想される方もいらっしゃいますが、心配は御無用です。ヘルニアの手術経過は半年もすれば保存療法と変わりなくなります。そこで新しい手術が考え出されるわけですが、それも従来型の手術と効果の上では変わりありません。

つまり手術直後は物凄い効果があるように感じられるが、徐々に保存療法(手術なしで理学療法など地道におこなう)と変わりない結果になっていきます。

■坐骨神経痛を訴える椎間板ヘルニア患者60名を対象に、ラブ法群と顕微鏡下髄核摘出術群の術後成績を1年間追跡したRCT(ランダム化比較試験)によると、術中の出血量、合併症、入院日数、欠勤日数、改善率など、いずれも両群の間に差は認められない。

新たに開発された術式なら従来の成績を凌駕するだろうと思いきや、脊椎固定術の例でも分かるように必ずしもそうとは限りません。ひと昔まえまでは、手術手術とおおいに行われてきましたが、2020年代にもなると不要な手術は減ってきています。

セカンドオピニオンが必要な方などは、ご参考ください。

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