慢性的な腰痛のある患者は、非慢性腰痛の人と比べると、約2倍の医療費が必要になるとの研究結果がでたようです。
英国はプライマリケア患者データがすべて電子化されている。
英国・ロンドン大学経済社会科学部のHong J氏らが、英国総合実践研究データベース(GPRD)を使用し、慢性腰痛症の治療に関連する12ヵ月分の医療費を比較分析し報告した。Spine誌オンライン版2012年10月2日号に掲載。
研究対象期間(2007年1月1日~2009年12月31日)
この研究では診断記録と鎮痛薬の処方記録のあった患者を慢性腰痛症患者(6万4,167例)と定義対照群は慢性腰痛患者と年齢、性、ジェネラルプラクティショナーの使用を1対1で一致させて、非慢性腰痛症患者(5万2,986例)と定義した。
【結果】
・慢性腰痛症患者の総医療費は1,074ポンド(2023/9で約196,755円)であり、対照群(非慢性腰痛症患者)の516ポンド(約94,476円)の倍額であった
- 慢性腰痛症患者の医療費の内訳で最も多くを占めていたのは※ジェネラルプラクティショナーの診察58.8%であり、続いて2次的ケアへの紹介が22.3%、残りが疼痛緩和の薬物療法にかかるものであり、これらがコストの格差をもたらしていた。
- 感度解析では、2群間のさらに大きなコストの格差が認められた(1,052ポンド対304ポンド)(約192,823円 対 約55,709円)
日本円にすると、なんとなく想像できそうな数字がでてきましたね。
※ジェネラルプラクティショナーとは、病気を心身から全体的に診療する医師のこと。病気の予防や健康教育、予防医療なども行います。また、専門医に紹介する必要がある患者を選別するゲートキーパーの役割も担っています。ジェネラルプラクティショナーは英語でGeneral Practitionerといい、略してGPと呼ばれることもあります。GPはイギリスやアイルランドなどの英連邦諸国では一次医療の中心的な存在で、国民保健サービスの下で活動しています。
2次性の他の疾患の発症も増やす、慢性腰痛。早めの対応で経済的にも得をします。痛みは何かのサインであることを忘れないようにして、早い段階でケアしておきましょうね。
日本ではさまざまな問題から慢性腰痛患者が増えています。高齢者の割合が増えていることもありますが、腰痛問題も医療費の増大に確実につながっています。