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伊藤孝英
カイロプラクティックそのまんまサンシャイン院長
RMIT大学(ロイヤルメルボルン工科大学)日本校卒業。B.C.Sc(カイロプラクティック学士), B.App.Sc.(応用理学士)。従来の筋骨格系障害としての腰背部痛という観点から、生物社会心理的要因としての腰背部痛へとシフトチェンジしてマルチモデルで腰痛ケアをしています。鬱・不安などの気分障害で過度な薬物療法に疑問をお持ちの方もお気軽にお問い合わせください。
そのまんまサンシャイン公式ホームページ
筋骨格系の症状はもとより代替医療のセカンドオピニオンもお気軽に聞きにきてください。https://chirosonomanma.com

坐骨神経痛のエビデンスと意見

腰を押さえる坐骨神経痛の男性

まずは代替医療の立場での意見を書いて、それから手術やお薬、硬膜外ステロイド注射などのエビデンスを列挙します。

どれも確定的なことは言えないですし、合う人には合うけど、そうでない場合もあると言えます。この記事は2023年に加筆修正しています。

目次

実は本当の意味での坐骨神経痛は非常に少ない

1)神経痛の感覚とは

「坐骨神経痛が何年もある」と訴える方も、多くいらっしゃいます。しかしながら専門的な立場から言わせていただきますと坐骨神経痛だと思われるものは非常に少ないです。

元来神経痛というものは、神経の分布している領域すべてに痛みが発生します。私がよく例え話に出すのは、肘の内側をテーブルにぶつけた時の例です。

尺骨神経(しゃっこつしんけい)に刺激が直で入りますから、ぶつけた所から、小指の先まで非常に痛いです。あれが神経そのものが痛んだ時の感覚です。

2)坐骨神経の支配領域

坐骨神経で言うとお尻から足の裏まで全部痛い状態でないと坐骨神経痛とは言えません。多くの場合は太ももの裏、お尻のあたりがと部分的に痛いことを、坐骨神経痛と呼んでいるだけの方が多いです。

お医者さんが何といようが中長期的にある症状が改善していかないのは違う原因があると考えたほうが良いと私は考えており、後に記す「筋膜の硬化」が症状の直接的な原因ではないかと考えています。

診断名が変わったヘルニア、座骨神経痛

以前は椎間板ヘルニア、座骨神経痛などと呼ばれていましたが、ここ10年ほどは足への症状がある腰痛、もしくは足への症状が腰痛より酷い場合も「神経根症状(しんけいこんしょうじょう)」と分類するようです。

保険診療上はまだそのような診断名が確立されていないので、本邦では未だ旧式の名前で呼ばれています。

診断名と画像診断はその後の患者さんの予後に大きく影響を与えるものですので、早期に変更したほうがよろしいのではないかとおもいます。

■神経根症状とは、「腰痛よりも片側下肢痛が重篤」「足またはつま先へ放散する痛み・しびれ・感覚異常」「SLR(下肢伸展挙上)テストで下肢痛が再現」「局所における神経徴候」で、発症後4週間以内は専門医へ紹介する必要がない。

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これも6週間以内に50%の患者が回復するグリーンライト(自己限定性疾患)です。やはり万国共通のゴーサインですから画像検査は必要ありません

自己限定性疾患は経過は良好で、時間経過とともに回復するのが解っている疾患のことです。ただし単純な腰痛と比べて6週間での回復率が50%と低めです。長期化する恐れがあるため注意が必要です。

片足挙上テスト(SLRテスト)若年成人のみ有効?

昔は有効であろうと思われていたものが、時間経過とともにそうでもないと判ることも医療の世界では良くあります。その一つが片足挙上テストです。

■若年成人の坐骨神経痛においては、SLR(下肢伸展挙上)テストを行ない記録する必要がある。脊柱管狭窄のある高齢者においては、SLRテストに異常が見られないことが多い(★★)。

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SLRでヘルニアの存在が確定できるわけではありませんし、最近の腰痛診療ガイドラインではほとんど重視してない、とのこと。

カイロプラクティックの大学教育では整形外科検査の中でSLRを覚えて、テストに出されます。ヘルニアなどの疑いをするためです。しかし新しいガイドラインを見ていくと意義のあるテストではなさそうですね。

ただ共通言語として知っているのは重要で、これからもそのような単語は増えるでしょう。

2.筋膜の硬化であると考えるようになった

いろいろな治療をしてこられた方は良く解ると思うのですが、なかなか良くならなかったりお薬が効かなかったりすることも良くあります。私自身臨床で戸惑うことも多々ありました。

そんな中マイオセラピーに出会い深層筋にアプローチすることが可能になると直接痛みを出している部位を触れることが出来るようになりました。痛みの根源を触れる訳ですから痛い治療ですが、これなら何とかなるかも!?と思っていただけますし、患者さんにとっても解りやすいから運動療法の意欲も沸きやすい治療だと私は思います。

坐骨神経痛でヘルニア手術 1年後は同じだが回復スピード早い

これは坐骨神経痛にヘルニアの手術を早期に行うか、必要に応じて行うかを 比較した場合です。

坐骨神経痛の場合、腰部椎間板ヘルニア手術を選択する場合もあるようです。腰椎椎間板手術は、坐骨神経痛が6週間以内に解消しない患者によく行われますが、手術の最適なタイミングは不明

米国マサチューセッツでの比較対照試験。1年間の回復具合は、早期手術に割り当てられた患者と、必要に応じてに割り当てられた患者で類似していたが、痛みの軽減と知覚された回復の速度は、早期手術に割り当てられた患者の方が約2倍速かった。

Peul WC, van Houwelingen HC, van den Hout WB, Brand R, Eekhof JA, Tans JT, Thomeer RT, Koes BW; Leiden-The Hague Spine Intervention Prognostic Study Group. Surgery versus prolonged conservative treatment for sciatica. N Engl J Med. 2007 May 31;356(22):2245-56. doi: 10.1056/NEJMoa064039. PMID: 17538084.

2023年のレビュー 人によっては手術もあり

メタ解析の結果、下肢の痛みに対しては、手術後の早期には軽減効果が認められるものの、時間の経過とともに非手術群と差が小さくなっていき、活動障害には手術後の早期から非手術との差が少ないことが明らかになった。

より具体的には、術後3カ月までは痛みに対する効果が「中」、障害に対しては「小」、3~12カ月ではどちらも「小」であり、12カ月時点の評価ではどちらも「わずか」と判定された。

研究者のLin氏らは「椎間板切除術が非外科的治療よりも有効であるとするエビデンスは低い、もしくは非常に低い」と結論付けている。

ただし「以前の研究でも同様のデータが示されており、驚くべきことではない。坐骨神経痛は、治療にかかわらず時間の経過とともに改善することが多いものだ」と解説。

一方で、「手術は症状を迅速に緩和する可能性があり、早期治療の選択肢と見なしても良いのではないか。手術のリスクとコストをメリットが上回ると考えられる患者にとっては、重要な選択肢となり得るだろう」と付け加えている。

Liu C, Ferreira GE, Abdel Shaheed C, Chen Q, Harris IA, Bailey CS, Peul WC, Koes B, Lin CC. Surgical versus non-surgical treatment for sciatica: systematic review and meta-analysis of randomised controlled trials. BMJ. 2023 Apr 19;381:e070730. doi: 10.1136/bmj-2022-070730. PMID: 37076169.

手術で回復しずらい人達の共通項

腰椎椎間板切除後の術後の回復に影響を与える多くの要因はいくつかの証拠は、女性、喫煙、年齢の増加、社会経済的地位の低さ、教育レベルの低さなどの社会人口統計学的要因が、手術後の不利な結果と関連している可能性がある。
早期の手術(1年以内)により、術後の回復が早くなり、早期の結果が向上する可能性あり。
さらに、主な症状として腰痛の手術を受けた患者と比較して、足の痛みのために椎間板切除術を受けた患者はより良い転帰を示した。
椎間板ヘルニアのサイズと坐骨神経痛の長期転帰との相関関係を示唆する証拠はありませんでした。
ただし、より高い解剖学的レベルのヘルニア(L1-2、L2-3)は、より低いレベルのヘルニア(L3-4、L4-5)と比較してより悪い結果と関連していました。
いくつかの研究は、術後の回復が遅いことは失業とうつ病と相関していることを示唆しています。

Aljawadi A, Sethi G, Islam A, Elmajee M, Pillai A. Sciatica Presentations and Predictors of Poor Outcomes Following Surgical Decompression of Herniated Lumbar Discs: A Review Article. Cureus. 2020 Nov 21;12(11):e11605. doi: 10.7759/cureus.11605. PMID: 33240732; PMCID: PMC7681772.
ドクター

簡単に書きますと、脚の症状のための椎間板切除手術は1年のスパンでは有効だろう、でもこの手術が功を奏さない人は、女性、たばこ吸う人、年寄り、貧しい人、学びが少ない人、はたらいてない人、落ち込んでいるひとに多い。

あとヘルニアの場所が第1腰椎や第2腰椎にある人。

坐骨神経痛への硬膜外ステロイド注射も …確実な根拠はない

これも皆さま良く耳にされると思いますが、硬膜外ブロック注射に効果があった方、あまり意味がなかったという声。統計的には20年前から結果が出ているようです。効果が無かったかたは、よく考えるきっかけにしましょう。

腰痛と坐骨神経痛に対する硬膜外ステロイド注射に関するRCT(ランダム化比較 試験)の系統的レビューを実施した結果、硬膜外ステロイド注射の有効性を示す科学 的根拠は見出せなかった

もし効果があるとしても短期間しか持続しない。

Koes BW, Scholten RJPM, Mens JMA, Bouter LM. Efficacy of epidural steroid injections for low-back pain and sciatica: a systematic review of randomized clinical trials. Pain. 1995 Dec;63(3):279-288. doi: 10.1016/0304-3959(95)00124-7. PMID: 8719528.

その翌年のフランスの研究では、坐骨神経痛の牽引治療は可能性があると言っているが、証拠不十分。

腰痛および坐骨神経痛への硬膜外ステロイドの有効性の批判的評価
5件の試験では、ステロイドを使わない群とくらべ、ステロイド群で最初の1か月以内に大きな痛みの軽減が示されましたが、8つの試験では、測定可能な利点は見つかりませんでした。

研究間の有意義な比較の障害には、患者集団、使用されたステロイドの種類、注射量、および注射回数の違いがあったので、硬膜外ステロイドが一般的な腰痛と坐骨神経痛に有効であるかどうかは、私たちのレビューに基づいて決定することはできない。

Rozenberg S, Dubourg G, Khalifa P, Paolozzi L, Maheu E, Ravaud P. Efficacy of epidural steroids in low back pain and sciatica. A critical appraisal by a French Task Force of randomized trials. Critical Analysis Group of the French Society for Rheumatology. Rev Rhum Engl Ed. 1999 Feb;66(2):79-85. PMID: 10084166.

とりあえず言えることは、最初の1か月では効果があることもある。複数回ステロイド注射をする根拠は不十分。

椎間板ヘルニアまたは脊柱管狭窄に続発する神経根痛に対する硬膜外注射の繰り返しを含むプロトコルを含む、11件のランダム化比較試験、1件の前向き対照試験、および2件の前向きコホート研究を良く調べたら、足の症状へ硬膜外ステロイド反復注射が結果を改善するかもしれないことを示唆していますが、証拠は結論を出すには不十分です。

Novak S, Nemeth WC. The basis for recommending repeating epidural steroid injections for radicular low back pain: a literature review. Arch Phys Med Rehabil. 2008 Mar;89(3):543-52. doi: 10.1016/j.apmr.2007.11.008. PMID: 18295635.

2012年の研究 坐骨神経痛への鎮痛薬、効果不明

坐骨神経痛患者への鎮痛薬を評価したRCT(無作為化比較試験)に関する論文23本を対象
に、鎮痛薬の効果をシステマティックレビューおよびメタ解析で検証。
非ステロイド性抗炎症薬、副腎皮質ステロイド、抗うつ薬などの効果を判断したエビデンスの質は中-低度でありり、「坐骨神経痛への一般的な鎮痛薬の有効性および忍容性は不明である」と結論された。

(BMJ 2012.Rafael Zambelli Pinto, PhD et al)

流石に最近は少ない牽引治療…

坐骨神経痛に牽引は意味なし

よく耳にしますが、坐骨神経痛の症状に機械によるけん引治療を何年もしている人がいますが、医学的には意味がないことをやっているといえます。このことは40年前のデータで明らかにされています。

1975年の研究。ふるい。
坐骨神経痛患者を対象とした①牽引群と②シャムトリートメント(擬似牽引)群に割り付けたRCT(二重盲検ランダム化比較試験)によると、両群の間に差は認められなかった。

腰痛や坐骨神経痛に対して牽引が有効だという証拠はない。

(Rheumatol Rehabil. 1975.Rheumatol Rehabil. 1975 Nov;14)

腰痛だけでなく坐骨神経痛にも牽引の効果が認められません。牽引治療に関しては痛みをとる効果はないようです。でもあの牽引治療は気持ちいいですよね。

こちらは追記のCochranレビューです。腰痛も含めて、何の役にも立たないことが明らかだとか。手動牽引もかあ。うちのカイロテーブルの牽引も慰安なのかあ、とほほ。

Cochranレビュー更新:坐骨神経痛を伴うまたは伴わない腰痛の牽引

坐骨神経痛を伴う、または伴わない急性(4週間未満の期間)、亜急性(4〜12週間の期間)または慢性(12週間を超える期間)の非特異的腰痛を治療するための牽引を含む32件の比較対照試験のレビューになります。

著者の結論: わかったことは牽引治療が、単独で、または他の治療法と組み合わせて、腰痛の痛みの強さ、機能状態、全体的な改善、および仕事への復帰にほとんど、またはまったく影響を与えないことです。

腰痛の治療としての牽引の使用は、入手可能な最良のエビデンスによって動機付けられることはない。これらの結論は、手動牽引と機械的牽引の両方に当てはまります。

Wegner I, Widyahening IS, van Tulder MW, Blomberg SE, de Vet HC, Brønfort G, Bouter LM, van der Heijden GJ. Traction for low-back pain with or without sciatica. Cochrane Database Syst Rev. 2013 Aug 19;2013(8):CD003010. doi: 10.1002/14651858.CD003010.pub5. PMID: 23959683; PMCID: PMC6823219.

私も昔よく接骨院でひっぱってもらいました。背が伸びたような感じになります。

個人的には牽引して、押圧は効果ありだと考えています。だってストレッチ&プレッシャーはトリガーポイント治療の基本だから。トリガーポイントには科学的根拠あります。

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