サインバルタというお薬は2023年には一般的になってきていますが、このお薬が腰痛症に適応になる頃の記事です。
カイロプラクティックの臨床をしていて疑問に思うことがありましたので記事にしてみました。
薬だけで何とかなると考えない方がいい
サインバルタが腰痛に保険適応になったが
2016年3月18日にSNRI(セロトニンノルアドレナリン再取り込み阻害薬)であるサインバルタが慢性腰痛への選択薬の一つとして承認されたが、研究からは効果は微妙なところといった印象が伺える。
抗うつ薬であるサインバルタが慢性腰痛にも適応になった日本での経緯と、海外の状況を参考に万能ではないことを解説していきます。
なぜそんな事が一代替治療家である私が言えるのか(私はカイロプラクター)
精度の高い研究で効果は微妙
効果があるという研究と、そうではないという研究に分かれる
有効率はプラセボよりも高いとするものの、体系的レビュー5報告にはそれぞれ5~9件のRCTが含まれ、3報告では抗うつ薬の鎮痛効果が認められたが、ほかの2報告では認められなかった。
Williamson OD, Sagman D, Bruins RH, Boulay LJ, Schacht A. Antidepressants in the treatment for chronic low back pain: questioning the validity of meta-analyses. Pain Pract. 2014 Feb;14(2):E33-41. doi: 10.1111/papr.12119. Epub 2013 Oct 17. PMID: 24460577.
有効率はプラセボよりも高いとするものの、体系的レビュー5報告にはそれぞれ5~9件のRCTが含まれ、3報告では抗うつ薬の鎮痛効果が認められたが、ほかの2報告では認められなかった。
いろいろな憶測が囁かれているが、どうなんでしょう?。
私自身は気分の落ち込み自体も薬では根本解決しないと考えるほうですから、腰痛でも同じではないかと思いますが、あまりにも落ち込みが激しい時、頼れるものが無いと感じている時には、数週間頼ってみるのもありかもしれません。
そもそもサインバルタは向精神薬です。
社会的な痛みに対して脳の一部が反応するのは解りますが、それは社会的な問題を解決する方向に考えるのが本筋です。でも日本の社会状況を考えると、致し方無い部分もあるかもしれません。
そもそも脳内のセロトニンが不足して抑鬱状態になるという抑鬱状態のセロトニン仮説はあくまでも仮説として考えておきましょう。
満場一致での承認ではなかった
塩野義製薬と日本イーライリリーは、両社が共同販促しているうつ・疼痛治療薬「サインバルタ」について「慢性腰痛症に伴う疼痛」に対する適応追加が厚生労働省に承認されたと発表したが適応追加の審議過程では、適正使用を懸念する意見が出ていた。
満場一致での承認ではなかった
塩野義製薬と日本イーライリリーは、両社が共同販促しているうつ・疼痛治療薬「サインバルタ」について
「慢性腰痛症に伴う疼痛」に対する適応追加が厚生労働省に承認されたと発表したが適応追加の審議過程では、適正使用を懸念する意見が出ていた。抗鬱薬であるサインバルタが慢性腰痛症への適応追加をめぐっては、厚労省の薬事・食品衛生審議会(薬食審)医薬品第2部会で異論が出て、部会審議としては異例の全会一致とはならずに承認了承された経緯がある。
抗精神病薬として発売された同剤が疼痛治療にも使われることを懸念して、適応症を絞り込む提案も出ていた。
お薬は処方が増える一方であるのが、今日の医療の形態です。財政的な面から見ても無理があるものですが、これを理学療法、リハビリテーションに置き換えるとさらに費用が必要になります。
そこまでは難しいというのが現実なのかもしれません。
欧州では承認見送り
海外では同剤の服用による自殺衝動(アクティベーションシンドローム)リスクも指摘されており、承認する適応症の絞り込みも提案されたが、部会では賛成多数で腰痛の適応追加を了承した。
米国など海外29カ国では腰痛適応が承認されているが、欧州では11年に同適応の承認が見送られている
カイロプラクターの意見
非特異的腰痛は未だに分かっていないことも多いのですが、さまざまな理由で起こります。サインバルタが功を奏する場合もあるのでしょうが、暫く使用して効果が感じられない場合は違う方法を考えてみるのが大切なことだと思います。