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伊藤孝英
院長
ロイヤルメルボルン工科大学健康科学部カイロプラクティック学科日本校卒業。B.C.Sc(カイロプラクティック学士), B.App.Sc.(応用理学士)。従来の筋骨格系障害としての腰背部痛から生物社会心理的要因としての腰背部痛へとシフトチェンジ。鬱や不安障害にも着目したマルチモデルでヒューマンケアしています。
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カイロプラクティックは危険?VS安全?

カイロが法制化されていない日本では、カイロプラクティックが好きな一部の愛好家を除き、怪しい職業の一つだとSNS上での意見を目にします。

否定的な意見に多いのは「危険」や、「効果がない」などです。

このページではカイロプラクティックが「危険なのか?」「安全なのか?」という両面の統計データを元に、WHO基準のカイロプラクターが解説していきます。

国民の皆様の判断材料の一つになれば幸いです。

先ずは「安全サイド」からの主張です。

目次

カイロプラクティックの安全性を確保する教育基準がある

卒業の帽子
カイロプラクティックは大学教育が必要

カイロプラクティックの施術は危険であると言えば危険な要素を含みます。

人体に素早い力をテコの原理を使ってかけるからです。その為、安全性を確保する教育基準があります。

よくある例えに、包丁やピストル、自動車も使い方によっては凶器になりますが、上手く使えば便利な道具として使えます。

カイロは44ヶ国で法制化されている

西洋医療ではない、西洋医療の代わりとなる代替医療という位置づけでWHOが教育基準を設けて安全性を確保しています。

世界保健機関(WHO)が認めているカイロプラクティックは適切なものであれば安全だということです。ただし法制化されている国で活動するカイロプラクターはDr.ですから大学教育の後に国家試験があります。

法制化されている国の詳しくは日本カイロプラクターズ協会翻訳によるWFCの報告をお読みください。(PDF)

ガイドラインがある=基本的には安全に運用できる

カイロプラクティックの特徴である背骨の矯正は専門用語で”脊椎マニピュレーション(せきついまにぴゅれーしょん)”といいます。

脊椎マニピュレーションだけがカイロプラクティックによる施術ではないのですが、皆さんが危険性が伴うと心配されるのは脊椎マニピュレーションの事だと思います。

※脊椎マニピュレーションとは、症状緩和と機能改善を目的に梃子(てこ)の原理を利用して脊柱に瞬発的外力を加える手技療法と定義。

熟練した術者による脊椎マニピュレーションで症状が悪化するリスクはきわめて低いが、

稀に重篤な神経障害が生じる危険性があるため、重度または進行性の神経障害のある患者に脊椎マニピュレーションは実施すべきでない(★★)

(1996年アメリカ、急性腰痛のマネジメント・ガイドライン)

アメリカでは各州でカイロプラクティックが法制化されています。日常的に脊椎マニピュレーション(背骨の矯正)が行われているので、しっかりとした調査の上でのガイドラインです。

上記のガイドラインで、稀に神経障害が起きる危険性があるが、具体的にはどれくらいなのか

腰へのマニピュレーションの場合、世界中で80年間で3例が神経障害

全世界の約80年間の蓄積データで、腰への施術後に10例が馬尾障害が発生。その中で脊椎マニピュレーションと関連が見られたのは3例。

Haldeman S, Rubinstein SM. Cauda equina syndrome in patients undergoing manipulation of the lumbar spine. Spine (Phila Pa 1976). 1992 Dec;17(12):1469-73. doi: 10.1097/00007632-199212000-00005. PMID: 1471004.

80年間で3例だと危険とは言えない数値です。

カナダの首の痛みへのガイドラインでは100万回に1回血管イベント

成人の為のエビデンスに基づく首の痛みの治療ガイドライン2005

椎骨動脈解離の理論的危害は報告されていませんが、分析によれば、100万回の頸椎操作の後に1つのVADが発生する可能性があります とされている。

Canadian Chiropractic Association; Canadian Federation of Chiropractic Regulatory Boards; Clinical Practice Guidelines Development Initiative; Guidelines Development Committee (GDC). Chiropractic clinical practice guideline: evidence-based treatment of adult neck pain not due to whiplash. J Can Chiropr Assoc. 2005 Sep;49(3):158-209. PMID: 17549134; PMCID: PMC1839918.

具体的な首への施術の事故発生率は研究によってさまざまです。

より詳しい首への脊椎マニピュレーションによる事故発生確率を知りたい方は「カイロプラクティックの首への施術は危険か?(別ページへとびます)」をご参照ください。

脊椎マニピュレーションは危険という側

首への施術は危険Vs危険でない 論争を見ていこう

きっと皆さんが心配されている「首への脊椎マニピュレーション」

2016年に起きた、アメリカ人モデルの死亡事故からカイロプラクティックが危険であると日本では言われることが多いです。

椎骨脳底動脈不全(脳卒中)リスクが高まるとの懸念が囁かれていますが、現時点では確実に危険であるとは言えない状況です。この論争はずっと続けられているのですが、立場や解釈によって変わってきます。

冒頭解説したように、道具や手段は場合によって凶器になりえます。

順を追って解説していきます。

先ず2010年Cassidyらの調査では問題ない

まず2010年にCassidyが首の脊椎マニピュレーションは特に脳卒中のリスクを上げるわけではないとの大規模調査の結果を出します。

この研究では、のべ1億人の入院患者のデータを調べました。入院中に方々は、入院前にカイロプラクティックを訪れていたか、プライマリケア医を訪れていたかを比較したものです。

  • 先ず分かったのは、脳卒中になって入院した方々は、入院前30日以内に頭痛や首痛などの症状を訴えて何らかの治療を受けている。
  • 頭痛や首痛でプライマリケア医、もしくはカイロプラクティックを利用していた人は、脳卒中以外で入院した人の3倍多かった。

これは言い方を変えると、脳卒中を起こして入院した方は、頭痛や首痛を訴えて医者かカイロプラクティックのどちらかを受診していたケースが多いということです。

カナダのオンタリオ州の病院に入院した累計計1億人のデータを調べた。

脳卒中で入院してきた人たちの入院前の行動を比較します。先述のとおり彼らは頭痛や首痛でプライマリケア医やカイロプラクティックを受診しています。

プライマリケア医を受けたグループとカイロプラクティック受けたグループを比較しても、脳卒中を起こす率に差はなかった。

Cassidy JD, Boyle E, Côté P, He Y, Hogg-Johnson S, Silver FL, Bondy SJ. Risk of vertebrobasilar stroke and chiropractic care: results of a population-based case-control and case-crossover study. Spine (Phila Pa 1976). 2008 Feb 15;33(4 Suppl):S176-83. doi: 10.1097/BRS.0b013e3181644600. Erratum in: Spine (Phila Pa 1976). 2010 Mar 1;35(5):595. PMID: 18204390.

これが2010年に出された論文の主旨です。つまり首へのマニピュレーションが特別に脳卒中のリスクを上げているわけではない、という主張です。


さてここからは、カイロプラクティックは危険である、危険かもしれないという論文です。

次に2012年システマティックレビュー「脳梗塞と関連性がないわけではない」

システマティックレビューは最上級の研究方法です。

Cassidyの論文から2年後に出されたものですが、このシステマティックレビューでは「脊椎マニピュレーションと脳梗塞には全く関連性がないわけではない」としています。

2012年のシステマティックレビュー

システマティックレビューの結論としては首のマニピュレーションと脳梗塞の強い関連性は見られない、しかし全く関連性がないわけではない
将来的には交絡因子とバイアスの可能性を最小化して、理想的には十分な数のケースをサブグループとして設け、首へのマニピュレーションの種類や首の動きについて解析することが望まれる。

Haynes MJ, Vincent K, Fischhoff C, Bremner AP, Lanlo O, Hankey GJ. Assessing the risk of stroke from neck manipulation: a systematic review. Int J Clin Pract. 2012 Oct;66(10):940-7. doi: 10.1111/j.1742-1241.2012.03004.x. PMID: 22994328; PMCID: PMC3506737.

この調査ではCassidyの結論のように、「全く関連性が無い」とは言えないので、どのようなテクニック、首の動いた方向なども踏まえて、解析することが必要とのことです。

2014年 メディカルDr.Xuemei Caiら 6.91倍リスクupするぞ!

さてシステマティックレビューから2年、先ほどの2010年のCassidy-Studyへの反論で、カイロプラクティックが危険だという趣旨の論文が、今度はメディカルドクター側から出されます。

現在日本で「カイロは危険だ」という論調の根拠はこの論文のようです。

ちなみに先述のCassidyはカイロプラクティック側の研究者です。

45歳以下への首へのマニピュレーションは危険である可能性

2010年に出されたCassidy studyへの反論として、Cassidyの時と同じ1億人のデータを使って、統計方法を変えると、首への脊椎マニピュレーションは倍脳血管障害発生リスクがあがり危険である。

具体的にはCassidyらの研究に、+αで内頸動脈の解剖、椎骨動脈の解剖、他の動脈の解剖の分類を付け加えて、なおかつこれらの分類された人達が、母集団と同じだけ脊椎マニピュレーションを受けていたと仮定して計算した場合、45歳以下で頸椎マニピュレーションを受けると脳血管障害リスクは6.91倍も上がる可能性がある。

Cai X, Razmara A, Paulus JK, et al. Case misclassification in studies of spinal manipulation and arterial dissection. J Stroke Cerebrovasc Dis. 2014;23(8):2031-2035. doi:10.1016/j.jstrokecerebrovasdis.2014.03.007
男性医師

この論文は方法変えて統計をとると、2010年に出されたCassidy studyの安全性は覆る。Cassidyの統計の取り方がインチキだと主張したわけです。

この方法論でオンタリオ州のデータで統計をとっていけば、頚へのマニピュレーションは45歳以下では危険であるが、臨床統計はとっていない ので可能性があるという論文です。

Xuemei Cai先生は、メディカルドクターの立場です。

あくまでも可能性の話ですが、おそらくネット上でカイロプラクティックは危険だと言い切っているのは、この論文を引用してだと思われます。

さて、さらに続きがあります。

2015年Chadwick L R Chungら体系的レビュー「危険だと判断できる研究は見つからない」

エビデンス三角
体系的レビューです

「Xuemei Cai先生らの6.91倍危険論文」の1年後、別のシステマティックレビューが提出されます。

システマティックレビューとは、地球上に存在する質の高い論文を、専門家が批判的に読んで吟味するという、最高レベルの論文です。

頸椎操作と椎骨動脈乖離の発生率を測定した疫学研究は見つかりませんでした。
同様に、頸椎の操作が椎骨動脈解離に関連しているかどうかを判断する研究は見つかりませんでした。

頸椎操作後の内頸動脈乖離の発生率は不明です。

首の痛み、腰痛、または頭痛に対する他の医療介入と比較した、頸椎操作後の椎骨動脈解離の相対リスクも不明です。

いくつかの症例報告と症例シリーズが頚椎の操作と、椎骨動脈解離の関連性の仮説を提起していますが、この仮説を検証する疫学研究は見つかりませんでした。

Chung CLR, Côté P, Stern P, L’Espérance G. The Association Between Cervical Spine Manipulation and Carotid Artery Dissection: A Systematic Review of the Literature. J Manipulative Physiol Ther. 2015 Nov-Dec;38(9):672-676. doi: 10.1016/j.jmpt.2013.09.005. Epub 2014 Jan 3. PMID: 24387889.

2015年の時点で、システマティックレビューにおいて危険であるとは判断できない、と言っているので、現時点で「危険」という事は非科学的だと言えます。

これ以降の疫学研究は今のところありません。

もちろん将来的に危険性の仮説が立証されれば、その時はそのようにご報告いたします。

不安を煽る記事やニュースは何かをコントロールするための事が多いです。

ネット上でも危険を煽る記事が散見されますが、引用論文がなく脊椎マニピュレーションをする技術が無い方が安全性を宣伝にするために書いた記事であると考えられます。

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