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伊藤孝英
院長
ロイヤルメルボルン工科大学健康科学部カイロプラクティック学科日本校卒業。B.C.Sc(カイロプラクティック学士), B.App.Sc.(応用理学士)。従来の筋骨格系障害としての腰背部痛から生物社会心理的要因としての腰背部痛へとシフトチェンジ。鬱や不安障害にも着目したマルチモデルでヒューマンケアしています。
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椎間板ヘルニア

腰痛や脚の症状(痺れや痛み)、首の痛み、腕への症状が出た方は、画像診断を受ける方もいるかと思います。

画像診断を受ける方の中で必ず一定割合で「椎間板ヘルニア」が存在します。

診断結果に、不安、心配になっている方に科学的根拠をもって安心感を得てもらうためのページです。

目次

椎間板ヘルニアでも心配不要

医療機関の画像診断でヘルニアと言われて困惑、人生に影響を受けているしている方も多いです。

安心してください。実は世界を見渡すと腰痛や首痛、腕や脚への痺れの患者さんに、基本的には画像診断自体を行わない方向で進んでいます

「手術対象でない」が世界のコンセンサス

世界で「ルーティーンの画像診断を行わない理由」は「画像診断をすると回復を遅らせる、症状が慢性化しやすから」です。

椎間板ヘルニアが原因だと言われると「ただの腰痛ではない」という連想が湧きます、

具体的な回復の青写真が見えずに困ってしまいますので、根拠をもとに安心してもらえるよう解説します。

1.1995年国際腰椎学会 Volvo Award の論文

この件に関して国際腰椎学会のVolvo賞に輝いた論文を避けて語れません。ボルボ賞は国際腰椎学会の金賞にあたる賞です。安全性世界一の自動車メーカーが栄誉ある賞を授与します。

医学会では1995年の金賞に輝いた論文を端に発し、腰部椎間板ヘルニアは遺伝情報で起きる可能性が高く、しかも腰痛と関係が無いかもしれないという考えが世界的に広がっていきました。

男性の一卵性双生児115組を対象にMRIで椎間板変性を促進させる危険因子を調査した

結果、椎間板変性は仕事やレジャーによる身体的負担、車の運転、喫煙習慣といった物理的因子より、遺伝的因子の影響を強く受けていることが判明

Battié MC, Videman T, Gibbons LE, Fisher LD, Manninen H, Gill K. 1995 Volvo Award in clinical sciences. Determinants of lumbar disc degeneration. A study relating lifetime exposures and magnetic resonance imaging findings in identical twins. Spine (Phila Pa 1976). 1995 Dec 15;20(24):2601-12. PMID: 8747238.

みなさんTVなどでご存じの通り、勿論今でも椎間板ヘルニアへの外科手術は日々行われており、それによって日常生活を取り戻した方もおられます。

しかしこのような論文があることを知らない方の方が多いのではないでしょうか。

20世紀の学説では椎間板に負荷がかかったり怪我をする、または加齢によって椎間板が損傷するモデルが提唱されていました。

腰椎変性変化に関連する、臨床症状と機械的な要因に焦点を当てた、損傷モデルの研究です。2009年のものです。

椎間板変性は遺伝で起きるようだ

この研究は双子の腰を順次、MRIを撮影して、どんな変化があるのかを観察したものです。

最も重要な発見は腰椎椎間板変性症と椎間板変性に関連付けられた最初の遺伝子形からみて、遺伝にかなりの影響があったということです。

逆に、成人期を通じて職業や余暇時間の物理的負荷条件で双子の兄弟の間で行動が不一致にもかかわらず、椎間板変性は驚くほど同じ時に観察された。

面白いのは、椎間板にルーチーンに負荷がたくさんかかれば、それだけ椎間板の健康度が高くなることが確認されている椎間板の変性は、遺伝により双子だと同じ時期に観察されるのです。

結論として、いままでの機械的な損傷や、怪我、消耗から椎間板損傷が起きると言うことは、この研究では見いだせなかった。重いものをもつとか、複数回ものをもつなどの環境因子もあるが、遺伝的な要因が一番椎間板変性と関係しているようであった。  

学説は一度確立されると覆るのに時間がかかります。議論の余地がない真実とされる信念、学説、慣行という腰痛分野における「聖域」を侵した双生児研究の業績は大きいです。

2.椎間板ヘルニアは無症状の人にもある

これは腰痛や首痛、痺れで苦しんでいる方には信じがたい証拠かもしれません。

基本的に椎間板ヘルニアは老化現象で、腰痛の有無に関わらず約35%の方に椎間板ヘルニアが存在するという論文です。

21~80歳までの腰痛未経験者52名を対象にCATスキャンで腰部椎間板を分析

結果、年齢に関わらず35.4%に何らかの異常が検出され、40歳未満の19.5%に、40歳以上の26.9%に無症候性椎間板ヘルニアを確認。症状が無い人にもヘルニアはある。

このような論文は多数ありますが、1990年代後半あたりから毎年のように症状と椎間板ヘルニアは関係しないという質の高い論文が提出されていきます。

この頃から、勢力図争いと申しますか、手術が有効だ、いや有効でないという論文攻勢が続きました。

3. 2018年 ランセットで断言

あまり効果が明確ではないルーティーンの画像診断に高額な医療費をかけ続けることで、患者が得るメリットはなく、2018年、世界4大医学雑誌のひとつランセットの「腰痛シリーズ」である提案が出されます。

ほとんどの腰痛は特定の識別可能な脊椎の異常とは無関係です。

このランセットの腰痛シリーズの3番目の論文での視点は、この腰痛の世界的な問題に対する行動の呼びかけです。

Buchbinder R, van Tulder M, Öberg B, Costa LM, Woolf A, Schoene M, Croft P; Lancet Low Back Pain Series Working Group. Low back pain: a call for action. Lancet. 2018 Jun 9;391(10137):2384-2388. doi: 10.1016/S0140-6736(18)30488-4. Epub 2018 Mar 21. PMID: 29573871.

もう3年以上前の超有名な論文です。検査機器が充実している日本では、より深刻な状況です。

4. 椎間板変性がある方が腰痛は少ない

少し古い情報ですが、椎間板に異常がある方のほうが腰痛発症は低いという論文もあります。このような論文が積み重なりランセットの提案に繋がっています。

「2002年の論文」

健常者41名(腰痛の全くない方々)を対象に腰部椎間板を5年間にわたってMRIで追跡調査した結果

物理的負荷(重量物の挙上や運搬・腰の回転や屈曲等)という従来の危険因子は椎間板変性とは無関係で、腰痛発症率はむしろ椎間板変性のある方が低かった。

5.腰部椎間板ヘルニアや脊柱管狭窄症も手術対象ない

こちらは2004年にヨーロッパで出された腰痛診療ガイドラインに書いてあります。もう20年近く前に判っていることなのです。

手術は2年後に検討すべき手段の一つ ~ヨーロッパガイドライン~

ヨーロッパの腰痛診療ガイドラインによると椎間板ヘルニアへの手術は、2年後の選択枝の一つとして考えられています。

つまり痛みが出て、数週間や数か月で手術ということは費用対効果に優れておらず、良い結果が得られないという考え方です。

これらのことは統計的に明らかなことで国全体の医療費を考えても明白なことです。各国によって手術を考える期間はさまざまですが、比較すると日本は早期に手術の提案をされているようです。

2004年 ヘルニア手術 長期的に効果的の証拠なし!長期的にリハビリと同じ結果

痺れも含めたすべての慢性的な腰痛に対する外科的な手術は 適切な保存療法を行っても2年間変化が無かった場合に いくつかある方法の選択肢の一つとして行うもの。

しかし現時点では手術をすることが長期的にみて効果的であるという証拠はどこにも無い。どういった手術が失敗に終わったかを考慮にいれて見当する必要がある。

腰痛への外科的手術の結果がどのようになるのかについては今までより精度の高い研究をする必要がある」

(European COST for chronic non-specific low back pain2004)

腰痛で椎間板ヘルニアと診断を受けた人たちを2グループに分けて追跡調査する研究においては、手術群と手術しないでリハビリする群とでは1年経過したあがりで効果に差がなくなります。

以前、ヘルニアの手術をしてヘルニアを除去したはずだけれども、腰が痛い方は周囲にいませんか?上記の論文から考えても分かるように、ヘルニアが痺れや痛みの原因ではなかったと言えるでしょう。

また手術群は腰や股関節、骨盤の機能性は上がりませんから、さらに追跡すると弊害は大きいかもしれません。

椎間板ヘルニアや椎間板変性に対する手術による治療成績は、集学的リハビリテーションと同等の結果になる

(Brox jl et al Spine2003) (Fairbank J et al BMJ2005) (Brox jl et al Pain2006)

6.症状があっても画像診断しないほうが治りが良い!

このことは本邦の現状では考えづらい方も少なくないと思います。画像診断をすると、本来痛みと関係のないはずのヘルニアが痛みの原因だと思い込んでしまう傾向があるからです。「私はヘルニア持ちだから…」というセリフをどこかで聞いたことあると思います。

腰痛のヨーロッパガイドラインなどでは、脚や腕への症状と画像所見との関連性が殆んどないことから「神経根症状」という診断分類になっています。

このため腰痛の臨床ガイドラインなどでは「進行性の神経症状が無い場合、画像診断をしないでください」と明記してあるほどです

(European COST for chronic non-specific low back pain2004) (Clinical Guidelines 1 February 2011)

それでも気になる方、何割が自然退縮するか

腰椎椎間板ヘルニアの自然退縮の確率:系統的レビュー
自然退縮の割合は、椎間板の隔離で96%、椎間板の押し出しで70%、椎間板の突出で41%、椎間板の膨らみで13%であることがわかりました。椎間板ヘルニアの完全な解決率は、隔離された椎間板で43%、押し出された椎間板で15%でした。
結論: 椎間板ヘルニア組織の自然退縮が発生する可能性があり、保存的治療後に完全に解消する可能性があります。椎間板の押し出しと隔離のある患者は、膨らんだまたは突き出た椎間板の患者よりも自然退縮の可能性が有意に高かった。ディスクの隔離は、ディスクの押し出しよりも完全な退行率が有意に高かった。

Chiu CC, Chuang TY, Chang KH, Wu CH, Lin PW, Hsu WY. The probability of spontaneous regression of lumbar herniated disc: a systematic review. Clin Rehabil. 2015 Feb;29(2):184-95. doi: 10.1177/0269215514540919. Epub 2014 Jul 9. PMID: 25009200.

これも以前から言われていますが、補足をすると飛び出している状態は内部の傷ですから、お掃除細胞が綺麗にしてくれます。膨らんだものは、傷ではないとの判断なのか、比較的自然退縮は少ないみたいですね。

では何が椎間板ヘルニアの原因か??

頭が整理できていない方の為に確認しておきます。椎間板ヘルニアはほとんどの腰痛の原因ではありません。

その前提を踏まえて、じゃあ椎間板ヘルニアという状態は、何がさせるのか?という問いです。

体重が重い人、筋力が強い人、腰への負荷は椎間板を強くする

以前は、重い荷物をもったり、こしに負担のかかる仕事をしている人がよく椎間板が潰れてしまうということが、まことしやかに言われていました。 

しかし実際に双子ちゃんへの追跡調査で、腰への負荷は椎間板の組織を強くするようです。

一卵生双生児を対照にした比較検査(フィンランド・600例)では、BMIが高値、引き上げ筋力が強い、作業強度が高いといった従来考えられていた椎間板損傷危険因子は、すべて椎間板変性を遅らせるらしいということが解りました。

Videman T, Levälahti E, Battié MC. The effects of anthropometrics, lifting strength, and physical activities in disc degeneration. Spine (Phila Pa 1976). 2007 Jun 1;32(13):1406-13. doi: 10.1097/BRS.0b013e31806011fa. PMID: 17545908.

椎間板が飛び出すのは、遺伝情報

いろいろな事を書いてきましたが、直接の原因は遺伝による老化現象のようです。

白髪が生えたり小じわができるのと同じ現象のようです。どんな仕事をしていようが、どんな生活をしていようが似通った遺伝子を持つ双子はだいたい同じような時期に椎間板ヘルニアが発生するようです。

もちろん椎間板ヘルニアができることは必ずしも痛いということはありません。ですから腰部椎間板ヘルニアというのは、「ディスクがはみ出ている状態」と言えます。なんとも信じられない研究に、私も最初はびっくりしました。

椎間板変性は、これまで考えられてきたような機械的、物理的な負荷で起こるのではなく、遺伝的要因でおこるようだ。

Battié MC, Videman T, Kaprio J, Gibbons LE, Gill K, Manninen H, Saarela J, Peltonen L. The Twin Spine Study: contributions to a changing view of disc degeneration. Spine J. 2009 Jan-Feb;9(1):47-59. doi: 10.1016/j.spinee.2008.11.011. PMID: 19111259.

何が腰痛を引き起こしているのか?

まだ確実なことは解っていないのですが、さまざまな研究がされています。最近はやりの筋膜や、ファシアといったことも考えられます。

中国で行われた研究では、腰部椎間板ヘルニアがあることと、腰部の多裂筋などの軟部組織に影響があるのではないかと推察しています。

2016年の研究では多裂筋の萎縮を疑っている
これまで腰椎椎間板ヘルニアの治療は、外科手術やその他の介入療法治療など、局所の椎間板に焦点を当てていましたが、術後の合併症と再発率は難しい問題でした
脊椎の生体力学と解剖学の発展に伴い、腰椎ヘルニアに関する研究も増加しました。

研究では腰椎椎間板ヘルニアの発生率と予後が局所的な筋肉と軟部組織と切り離せないことを発見。深部傍脊柱筋として、多裂筋は腰部の安定性を高めるために重要な役割を果たします。

その異常な機能は腰椎の安定性を低下させる可能性があり、慢性腰椎疾患は多裂筋の萎縮を引き起こす可能性もあります。

Chen WY, Wang K, Yuan WA, Zhan HS. [Relationship between lumbosacral multifidus muscle and lumbar disc herniation]. Zhongguo Gu Shang. 2016 Jun;29(6):581-4. Chinese. PMID: 27534095.

多裂筋は医療業界の方でないと知らない方も多いと思いますので簡単に解説。

多裂筋はいくつかある、深背筋のひとつです。
背骨の尖ったところから、2-4椎体隔てて、背骨の横に伸びている突起(横突起)に付着して、脊柱を支え、またその運動を行います。深層筋なので実際は絵で見るより深いところにあります。

私自身は、この多裂筋が委縮、硬くなっているのが原因で腰痛、下肢への症状がとても多いと思っています。

手技療法のみで施術をしていると判らないとおもいますが、針(中国針)やマイオセラピーで深部に触れれば症状を簡単に誘発できます。

やはり多裂筋が機能低下 結果か原因か?

腰椎椎間板ヘルニア患者における多裂筋の片側性変化:系統的レビューとメタアナリシス
腰部椎間板ヘルニアと診断された患者の多裂筋の形態を評価することが重要な場合があります。
目的: 腰部椎間板ヘルニアと診断された患者の多裂筋形態に関する系統的文献レビューとメタアナリシスを実施して、腰部椎間板ヘルニア患者と健常対照者の間、および片側性を経験している被験者内の多裂筋形態の違いを評価。

方法: Pubmed、Web of Science、EMBASE、およびMEDLINE Ovid検索エンジンを使用して、2019年11月までに公開された記事の系統的検索を実施しました。この検索から得られた記事は、所定の適格基準を使用して、方法論の質について評価されました。多裂筋の形態に関する不均一なデータが記述的分析に含まれていました。均質なデータがメタ分析に含まれていました。

結果: 3,176件の記事を特定しました。包含/除外基準のスクリーニングに基づいて、18の記事が含まれていました。研究は、左右の違いを評価するか、腰部椎間板ヘルニアと診断された患者を健康な対照群と比較する断面研究またはケースコントロール研究のいずれかでした。
9件の研究が全筋萎縮を調査し、6件が筋脂肪浸潤を調査し、7件の研究が筋線維のサイズ、分布、筋線維症などの微視的な筋肉特性を評価しました。
18の記事から、10がメタ分析に含まれました。
メタアナリシスでは、筋線維のサイズ、分布、および筋肉全体のサイズの左右の違いを比較しました。記述的分析は、左右の違いを比較したり、症例を対照と比較したりすると、多裂筋の脂肪浸潤と萎縮(筋肉と個々の繊維)の増加を示しました。
メタアナリシスは、腰部椎間板ヘルニア側のI型筋線維の数の有意な増加(p = .008)と組み合わされたI型およびII型筋線維サイズの有意な減少(それぞれp = .002、.01)を示しました 。
全筋肉サイズに関しては、有意差は見られませんでした。
結論: この研究は、片側性腰部椎間板ヘルニア患者における同側多裂筋の変化の存在を示しています。

Stevens S, Agten A, Timmermans A, Vandenabeele F. Unilateral changes of the multifidus in persons with lumbar disc herniation: a systematic review and meta-analysis. Spine J. 2020 Oct;20(10):1573-1585. doi: 10.1016/j.spinee.2020.04.007. Epub 2020 Apr 20. PMID: 32325246.

どうやら、痛い側の多裂筋のI型筋線維の減少つまり遅筋(ちきん、耐久性高いがゆっくり動く)線維の数が減って、サイズもⅡ型の速筋とともに小さくなっているようです。簡単に言えば、弱くなっているということでしょう。

治療1年後のMRI所見と坐骨神経痛の有無は無関係

大西 淳子=医学ジャーナリストによる報告の抜粋です。概要はNEJM誌のWebサイトで閲覧できます。

【解かり易く要点だけのこし、()内に私見を入れますね】

椎間板ヘルニア治療1年後のMRI所見は、坐骨神経痛の転帰と相関しない

オランダLeiden大学医療センターのAbdelilah el Barzouhi氏らによる研究で示された。詳細は、NEJM誌2013年3月14日号に報告。
坐骨神経痛の主な原因は椎間板ヘルニアだ。多くの患者では下肢の痛みは8週間以内に消失するが、保存的治療を行っても症状が持続する患者も存在し、そのような患者にはヘルニアに対する手術が行われている。(海外では手術は第一選択ではないです)
しかし、ヘルニアの手術を受けても、坐骨神経痛の症状が消失しない、または再発する患者が15~20%程度存在する。
MRIによるスコア1~3の椎間板ヘルニアの存在は、臨床転帰と相関していなかった。ヘルニアがあって坐骨神経痛のある患者と、ヘルニアが無くて坐骨神経痛症状のある患者との1年後の比較では快復に差が無い。

坐骨神経痛を有し椎間板ヘルニアの治療を受けた患者における1年時のMRI画像では、転帰良好と不良を識別することができなかった。「坐骨神経痛の症状が持続または再発した患者における、MRI画像所見の臨床的な意味合いに関して、さらなる検討が必要だ」と、著者らは述べている。

椎間板ヘルニアは臨床上関係ない

短期的には手術をすると有る程度のところまで痛みが減ることは解かっています。数週間すると保存療法群と同じ痛みの値になりることも解かっています。ヘルニアを手術で取っ払っているのに再発ってどういうこと?

ヘルニアのレベルは症状の回復などと関係性は無かった。これはヘルニアがあってもなくても脚の痛みの有る無し、また症状が減っていく経過は同じであるということです。

ヘルニアの画像所見は馬尾障害※が無ければ気にする必要はありません。逆にいいますと、馬尾障害がなければ脚の痛みでMRIを撮る必要はないということです。世界の画像診断ガイドラインに基本的に画像診断しないでくださいと書いてあります。それは画像が脳裏に焼き付いてしまうからです。
※馬尾障害は失禁などの排尿排便障害、勃起障害があり股間だけ痺れている状態です。

焦らない 腰痛 痺れは回復していく

ながながとエビデンスを基に、椎間板ヘルニアについて世界の情報を引用しつつ解説してきました。当院にもヘルニアの手術を促されてセカンドオピニオンを聞きに来る方もおられます。

結論としては基本的には手術は検討する必要はないことを世界の論文や腰痛ガイドラインは教えてくれています。カイロプラクティックや針、理学療法のような保存療法でケアしていくのが基本ということです。

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