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伊藤孝英
院長
ロイヤルメルボルン工科大学健康科学部カイロプラクティック学科日本校卒業。B.C.Sc(カイロプラクティック学士), B.App.Sc.(応用理学士)。従来の筋骨格系障害としての腰背部痛から生物社会心理的要因としての腰背部痛へとシフトチェンジ。鬱や不安障害にも着目したマルチモデルでヒューマンケアしています。
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慢性疲労症候群 ME/CFS

慢性疲労症候群は原因不明の疲労感が4カ月以上続くと診断を受ける可能性があります。

いままでさまざまな原因説が出てきて、打ち消され、今日に至りますが科学的に解っていること、カイロプラクティック臨床で感じることを書いていきます。

最近ではコロナウイルス感染症の後遺症の一つとして、倦怠感、慢性疲労が挙げられ慢性疲労症候群との関連の記事も散見されます。

表記は筋痛性脳脊髄炎(Myalgic encephalomyelitis=ME)か、慢性疲労症候群(Chronic fatigue syndrome=CFS)で原因不明の疲労症候群のを表します。

論争はあるものの(慢性疲労症候群は筋痛性脊髄炎をカバーするかどうか)、筋痛性脊髄炎と慢性疲労症候群は文献で組み合わされて使用されているため、ME/CFSと表記されることが多いようです。

炎症が原因なのか、精神的なものなのか原因がはっきりと解かっておりませんし、もしかしたら同じような状態でも原因が複数あるのかもしれません。

患者さんの訴え、社会的問題、何処でライン引きをするか?議論ができるところまで書いていきます。

一般的に報告されている数値は人口の約0.5%の方が慢性疲労症候群と診断されます。

目次

慢性疲労症候群は原因不明 

カイロプラクティックの臨床をしていて、きっかけは腰痛や、肩こりで来院なさる方が「慢性疲労状態」に陥っている方が少なくありません。

勿論、ベッドから起き上がれない、会社に行けないというような重度の慢性疲労状態のことではありません。

慢性疲労症候群は頭痛、頸部のこわばり、めまい、心血管および胃腸の障害、原因不明の発熱、精神障害などのさまざまな症状を伴うことがよくあるからです。

「慢性疲労」と「慢性疲労症候群」は具体的には違うのですが、慢性疲労症候群の予備軍は多いように思われます。

男性医師

医学的にもまだハッキリとした原因が判らず、ゆえに治療法、予防法も確率されていません。ですから疲労感が続いている方々は要注意であると思います。

慢性疲労症候群と診断が出されるようになると、社会生活を営むのが困難になりますから、カイロプラクティックケアなども利用して、早め早めに疲労回復ができる身体づくり、ライフスタイルの構築が必要ではないかと思います。

ただし最近では新型コロナ感染症後に続く後遺症(long covid)で倦怠感、慢性疲労が起き、その原因が「自己免疫疾患状態」である可能性も指摘されており、ウイルス性である場合もあり得ます。

コロナパンデミック前はウイルス性は否定されつつあったのですが、変化がでてきています。

頭頚部の痛み、こわばり 身体症状とME/CFSは関連

とにかくダルイ 常に疲労してる人の共通点は背中がガチガチ

実際に慢性疲労症候群の診断が出た方の背中を触ったことはないのですが、カイロプラクティックに来る方で「いつも疲労している方」は決まって首から腰、つまり背中が硬いです。

いくら睡眠をとっても眠い、いつも疲労している、なにもやる気が起こらないという方が腰痛や肩こりを訴えることもしばしば。

この慢性的な疲労感は数週間程度なら耐えられますが、数カ月と続くと何を行うにも億劫になり、そんな自分に苛立ちを憶えるようになります。(こうなったら黄色信号)

疲労した人
慢性疲労≒首が痛い≒うつ

背骨のケアで活路が見いだせる可能性

コロナ感染後に発症する慢性疲労症候群でも背骨の可動制限が起きていることが報告されている。

Petracek LS, Suskauer SJ, Vickers RF, Patel NR, Violand RL, Swope RL, Rowe PC. Adolescent and Young Adult ME/CFS After Confirmed or Probable COVID-19. Front Med (Lausanne). 2021 Apr 29;8:668944. doi: 10.3389/fmed.2021.668944. PMID: 33996867; PMCID: PMC8116546.

先ずはお身体を緩めまていきましょう。筋肉は硬いと血液循環が悪くなり、疲労が取れづらくなります。

背中が緩んで、少しでも運動する気が起きたら、ウォーキングなどを少しずつ始めましょう。

頚部の痛み、こわばりがとれるとME/CFSも回復

ME / CFS患者の頸部筋肉での自律神経系関与か?
外来治療に反応しなかったME / CFS入院患者1226人が研究に参加、患者は入院中に

①毎日頸部筋肉の理学療法
②ME / CFSの自己評価の記録
③ME/CFSに頻繁に伴う代表的な8つの症状(頭痛・頚部の痛みやこわばり・めまい・動機・眩しい・吐き気または腹痛・不明熱・うつ)を入退院時に比較。
④瞳孔径も測定し自律神経系機能の関与を調べた。

結果: 局所療法後のME / CFSの回復率は55.5%であり、性別、年齢層、入院期間によって有意差なし。
8つの症状(頭痛・頚部の痛みやこわばり・めまい・動機・眩しい・吐き気または腹痛・不明熱・うつ)の回復率は様々(36.6-86.9%)。

ただし、症状の亜集団におけるME / CFSの症状は類似(52.3-55.8%)。
すべての症状の回復率は、ME / CFSの回復率と強い関連(p <0.001)。

瞳孔径はME / CFSで回復した患者の方が、ME / CFSで回復した患者よりも、性別、年齢、入院期間によって層別化された全集団および亜集団でより収縮していた。

結論: ME / CFSの回復と、他の関連する全身症状との間には強い関連がありました。ME / CFSの回復は、頸部の筋肉の自律神経系の改善に部分的に関連している可能性

Matsui T, Hara K, Iwata M, Hojo S, Shitara N, Endo Y, Fukuoka H, Matsui M, Kawaguchi H. Possible involvement of the autonomic nervous system in cervical muscles of patients with myalgic encephalomyelitis / chronic fatigue syndrome (ME/CFS). BMC Musculoskelet Disord. 2021 May 5;22(1):419. doi: 10.1186/s12891-021-04293-7. PMID: 33952227; PMCID: PMC8101228.
慢性疲労症候群は頚部理学療法が効果的
55.5%の慢性疲労症候群が回復
回復せず
随伴8症状 36-87%が回復
変化なし

頸部の筋肉への理学療法が、ME / CFSの患者の半数以上で回復をもたらしたが、頸部の筋肉がME / CFSの治療の可能なターゲットであるかどうかは不明。理由は首の痛み、こわばりの方が取れづらいという結果から。

最終的には少しずつ負荷をかける運動が必要です。

生活に張りを取り戻していきますが、慢性疲労がある方は最初はとても運動なんてする気も起りません。

認知行動療法が有効なのは10-20%

1990年代から認知行動療法と運動療法の併用が効果的であると言われていますが、2019年の研究では具体的な回復率が出てきています。10-20%だそうです。

慢性疲労症候群の回復に認知行動療法が有効なケースも 2015年の研究

1年間にわたる研究の結果、認知行動療法と段階的運動療法に肯定的な結果が認められたと報告。

今回の新たな結果は、その被験者641人のうち4分の3をさらに追跡することにより得られたもので、2年半が経過しても、この2つの治療法が一部の患者に有効であることが明らかにされた。

Sharpe M, Goldsmith KA, Johnson AL, Chalder T, Walker J, White PD. Rehabilitative treatments for chronic fatigue syndrome: long-term follow-up from the PACE trial. Lancet Psychiatry. 2015 Dec;2(12):1067-74. doi: 10.1016/S2215-0366(15)00317-X. Epub 2015 Oct 28. 

認知行動療法、段階的運動療法の有効性が低いという批判をもたらしました。。PACE試験ではCBTを使用した場合の回復率は22%でしたが、PACEからのデータの再分析では、回復率は10%未満でした。

Wilshire CE, Kindlon T, Courtney R, Matthees A, Tuller D, Geraghty K, Levin B. Rethinking the treatment of chronic fatigue syndrome-a reanalysis and evaluation of findings from a recent major trial of graded exercise and CBT. BMC Psychol. 2018 Mar 22;6(1):6. doi: 10.1186/s40359-018-0218-3. PMID: 29562932; PMCID: PMC5863477.

Geraghty KJ. Further commentary on the PACE trial: Biased methods and unreliable outcomes. J Health Psychol. 2017 Aug;22(9):1209-1216. doi: 10.1177/1359105317714486. Epub 2017 Jun 14. PMID: 28805517.
男性医師

認知行動モデルでは「ネガティブな思考や感情を経験したり表現したりすることが受け入れられない」という患者の信念が、臨床的問題の発生と維持に中心的な役割を果たし、予後や治療結果の悪化と関連することが言われています。

そのまんま

私も認知行動療法提供者として、興味深い論文です。認知行動療法ではスキーマと呼ばれる’’信念’’が何かを常に意識して対応します。鬱病とCFSは症状が似ていることも多いため鬱病に有効な認知行動療法がME/CFSに有効であろうという仮説でしかない、という論文です。

ネガティブな思考や感情を経験したり表現するのが受け入れられないのは統合失調症の患者さんにある状態でもあるらしいので、興味深いです。

慢性疲労症候群の「認知行動モデル」:欠陥のあるモデルに対する批判
ほとんどのME/CFS患者は、自分の病気が感染後に始まったと報告しており、ME / CFSを感染および感染後の免疫変化に関連付ける文献が増えています。認知行動療法は治療はもっともらしいですが、理論的根拠が欠けています。

理由はME/CFS に対する認知行動療法の臨床試験には、多くの場合、精神療法に肯定的に反応する可能性のある精神疾患の患者が含まれますが、感染後のプロファイルを持つ患者は反応しないことがよくある。

英国の病院を拠点とする慢性疲労症候群専門クリニックに紹介された患者のグループの 82% が、抗うつ薬を処方されたと報告しています。大うつ病性障害を持つ患者の38% が慢性疲労症候群を持っていると誤って分類されている状況。
Vercoulenら(1998)のモデルでは、CFS患者は、 身体活動や回復への動機付けが不十分であり、内部統制の場所を持たず、症状に対する自虐的な 先入観を持っているとしている。

Geraghty K, Jason L, Sunnquist M, Tuller D, Blease C, Adeniji C. The ‘cognitive behavioural model’ of chronic fatigue syndrome: Critique of a flawed model. Health Psychol Open. 2019 Apr 23;6(1):2055102919838907. doi: 10.1177/2055102919838907. PMID: 31041108; PMCID: PMC6482658.
そのまんま

先の論文にあるように、コロナ感染後のME/CFSもあることから、感染症もトリガーになるのは間違いなさそうです。

ME/CFSに対して背骨を緩めてみる価値はある

カイロプラクティックをはヘルスケアの専門職。上記の事から首痛やこわばりをターゲットにしてカイロプラクティックケアを受けてみる価値はあるといえます。

問題は何回通うべきか?

おそらくそこまで検討している論文は未だ無いと思いますので、オーソドックスに慢性痛のプロトコルと考えた場合、先ずは5.6回の通院と考えれば良いと私は思います。

この5.6回の通院を1クールとして、毎回目標を立てなおします。仮に痛みで考えた場合、完璧を求めないことも大切です。

そして動ける気力が少しでも湧いてくるならば、有酸素運動も適宜取り入れる必要があると思われます。

背中や腰の筋肉が緊張していると眠っても眠っても回復しきりません。それだけ睡眠の質も低下しています。

交感神経過敏になって悪循環に陥っているので、何か悪循環を断ち切る術を持つ必要があります。

疲労しきっている人は、ご自身の身体がどれくらい緊張しているか認識できなくなっている方が多いです。そのまま栄養ドリンクやカフェインで胡麻化して無理していると大きな病気のリスクがどんどん上がってきます。

運動療法は認知行動療法と同じくらい有効

これは画期的なCochranレビューです。慢性疲労状態の方は「運動?なんてできない、疲労しているから」という解釈だと思われますが、動くことは動物の機能です。

2016年の慢性疲労症候群への運動療法 コクラン文献レビュー
7つの研究は一貫して治療終了時の運動療法後の倦怠感の減少を示した。睡眠(2つの研究、323人の参加者)、身体機能に関して(5件の研究、725人の参加者)、治療終了時の運動療法のプラスの効果を報告。

認知行動療法と運動療法の比較では、2つの試験(351人の参加者)があった。
①1件の試験(298人の参加者)は、2つのグループ間で治療終了時の倦怠感にほとんどまたはまったく違いがないことを報告。
②身体機能、うつ病、不安神経症、睡眠に違いは見られませんでした。
③痛み、全体的な健康状態の自己認識の変化、医療サービスリソースの使用、および中退率に関して結論を​​出すことはできませんでした。

別の研究(183人)では支持的傾聴よりも運動の方が有益であることが示唆された。利用可能なエビデンスがあまりにも少ないため、薬物介入の効果について結論を出すことができなかった。

Larun L, Brurberg KG, Odgaard-Jensen J, Price JR. Exercise therapy for chronic fatigue syndrome. Cochrane Database Syst Rev. 2015 Feb 10;(2):CD003200. doi: 10.1002/14651858.CD003200.pub3. Update in: Cochrane Database Syst Rev. 2016;2:CD003200. PMID: 25674924.
そのまんま

よく誤解されていると感じるのは、元気に仕事している人は疲労を感じないんじゃないか?です。
とても元気な方も疲労を感じてカイロプラクティックを利用しています。

カイロケアを通じて思うのは、アクティブ・レストつまり動いて疲労を取っていくという「感覚」を養う必要があるのだと思います

慢性疲労症候群のウイルス説は間違い?

西洋医学的にはCFS(慢性疲労症候群)と診断を受けることが多いようです。CFSは少し前まではウイルスによる説が浮上していましたが、どうも実験室での汚染が原因でそのような結果が出ていたようです

(Natture .June of 3 2011) https://www.nature.com/articles/news.2011.347

青少年へインターネットベースの認知行動療法プログラム(FITNET)が有効

慢性疲労症候群(筋痛性脳脊髄炎、筋痛性脳症)は持続的な疲労感と重度の身体機能低下を特徴とし、青少年では長期化することが多く、学業や社会的発育に悪影響を及ぼす。

治療法として有望と考えられる認知行動療法は、専門的な技能を要するためその利用は限定的なのが現状だが、インターネットの使用によってアクセスが容易になる可能性が示唆されている。
(Lancet誌2012年4月14日)

あなたの治癒力を信じて…

これまで見てきたように、ウイルス説もあれば鬱や身体の痛みとの相関もあるようで、一概に言えないのが現状です。

さまざまな事情があるとおもいますが、いろいろと試してみるのは価値があるものと思われます。悪循環を断ち切ってダイナミックな生活を取り戻していけることを信じましょう。

神経系の休まることのない生活

うつ向く少女
不安で眠りも浅い

エビデンスはありませんが、キッカケとしては交感神経系が働き過ぎた結果のより戻し状態であるのも一つの原因ではないかと私は考えています。

多くの仕事にパーソナルコンピューターが活躍する時代です。画面の前にいると電磁波や、画面のチラツキなど絶えず交感神経系が刺激を受けていることは間違いないでしょう。

自律神経系は交感神経(活動性・興奮性)と副交感神経(休息性・沈静性)とに機能分類されています。交感神経系が常に働いていると過敏になり、イライラしたり、ぐっすり休むことが出来なくなり疲労が蓄積されるのは皆さんご存知のだと思います。

このページがME/CFSでお困りの方の一助になれば幸いです。

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