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伊藤孝英
院長
ロイヤルメルボルン工科大学健康科学部カイロプラクティック学科日本校卒業。B.C.Sc(カイロプラクティック学士), B.App.Sc.(応用理学士)。従来の筋骨格系障害としての腰背部痛から生物社会心理的要因としての腰背部痛へとシフトチェンジ。鬱や不安障害にも着目したマルチモデルでヒューマンケアしています。
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むちうち症になって30年

むち打ち症への対応で良くならなかったケースです。正確に言えばしっかり触れることが出来なかったケースです。

目次

長期間づづく鞭打ちの考察

まずカイロプラクティック治療(脊椎マニピュレーション)はむち打ち症にも効果的で、臨床ガイドラインまで作成されています。

ですからある程度の効果は、科学的に保障されています。

首の痛みに関連する障害およびむち打ち症に関連する障害の治療:臨床診療ガイドライン
首の痛みに関連する障害とむち打ち症関連障害への臨床ガイドラインをグレード1-4に分けて書いてあります。背骨の矯正(脊椎マニピュレーション)も推奨されています。

Bussières AE, Stewart G, Al-Zoubi F, Decina P, Descarreaux M, Hayden J, Hendrickson B, Hincapié C, Pagé I, Passmore S, Srbely J, Stupar M, Weisberg J, Ornelas J. The Treatment of Neck Pain-Associated Disorders and Whiplash-Associated Disorders: A Clinical Practice Guideline. J Manipulative Physiol Ther. 2016 Oct;39(8):523-564.e27. doi: 10.1016/j.jmpt.2016.08.007. PMID: 27836071.

では何故このケースでは良くならなかったのか?

30年鞭打ち症が続く

先ずは患者さんの訴えを聞いてみましょう。 60代男性 会社経営者の症例になります。

男性

車の事故の後から、何をしてても首が痛い痛みが怖いんです。何かにすがりたい気分です…
今までありとあらゆる療法をやったが効果が無い

そのまんま

どんな治療法を行ってきましたか?

軽い触診で激痛

男性

マッサージや整体、針などあらゆることです。
神経ブロック注射も30回は行いました…

そのまんま

さぞかし辛かったでしょうねえ

男性

何とかならないかと藁をもつかむ思いです…
痛みで死んでしまいたいと思うこともあります…

  • 首に軽くふれるだけで痛い
  • 痛みで死んでしまいたいと思う事もある

中枢感作の疑い強

指で軽く触れるだけで「痛い」ということは痛みが感作性疼痛(中枢感作)にだったと考えられる。
これは首の筋肉や皮膚が本来感じている信号を、脊髄や脳が複雑な経路をたどり、痛みを増強して感じている状態です。
詳しい機序は解っていない。

男性医師

「痛みで死んでしまいたいと思うこともある」というのは抑鬱状態であることも示唆されます。痛みと鬱は強い関係がありますので、それらも考慮する必要があります。

検査は軽い触診のみ

  • 軽く触れて確認をして、身体とこころの関係を説明する。
  • 触れるだけで激痛がはしるので、首は触診の確認のみで状態をみるに留まる
  • 2回目の施術は首には触れずに、背中、腰の治療をする。
  • 背中、腰はオーソドックスな脊椎マニピュレーションを行う
男性

初回の治療の翌日に痛みの悪化が悪化しました。
2回目の施術で少し楽になったが、施術が怖いので、2回目の施術の翌日に治療中止をお願いしました。

マニピュレーション、モビリゼーション、運動療法が何もできない

まずカイロプラクティックらしいことが何一つさせてもらえなかったのが悔やまれるところです。

そのまんま

そっと触れるだけで激痛がありましたので、関節をゆっくり動かすこともできませんでした。
カイロプラクティック治療はケベック特別委員会での報告でも有効性が説かれていますが、関節矯正、関節をゆっくり動かす、運動療法を行う結果です。

【マニピュレーション】長期間にわたる治療は正当化されないが、短期間ならWADの治療に脊椎マニピュレーションを用いることができる。ただしこのテクニックを行なうのは有資格者に制限すべきである。

【モビリゼーション】限られたエビデンスからモビリゼーション(瞬間的に外力を加えることなく可動制限がある関節の可動域を無理なく徐々に広げて行く他動的ストレッチ)はWAD(むち打ち関連障害)の治療として用いることができる。

【運動】限られたエビデンスからROM(関節可動域)運動はただちに実行されるべきである。痛みが激しい時は休み休み行なう必要があり、症状の悪化がみられた場合は臨床的判断が重要である。

脊椎の牽引や起立筋の緊張を緩めることで頸椎へのアプローチの可能性も出てくると考えていましたが、痛みを増強させてしまい可能性は無くなりました。

カウンセリングが必要だった

上記の状態で出来ることは認知行動療法による疼痛管理でしたが、出来ませんでした。

カイロプラクティックということで徒手治療を期待して来られると本質を見失うことがあります。

痛みが本人の生活の奥深くに入りこんでいたので充分なカウンセリングを初回に行うべきであったと考えています。

頚部には手技での確認しか行っていないが、悪化を訴えているので慢性痛の特徴である脳内ペインマトリックスも活性化しているものと考えられる。

痛み方もお話しを伺っていると心理的な要素からの痛みが深刻であったように思えます。

痛みが30年続いていると、想像をはるかにこえる苦しみの中でいらっしゃったのでしょう。痛みと環境は密接に関係しているので環境が痛みをここまで肥大化させてしまうと実感した症例でした。

マイオセラピーで施術する選択肢も

現在ならばマイオセラピーを選択肢の一つに上げます。

この場合は交感神経節の存在する胸椎を中心に施術を行うことで中長期的に回復に向かうことを狙います。

マイオセラピーの施術も中枢性の神経炎症が起きるため痛みがさらに増幅する可能性はあります。

中枢感作がない人にも30分は説明する重要な反応ですので、本症例が胸椎のマイオバイブによる振動に耐えうるならば症例としては興味深いものになるかもしれません。

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