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伊藤孝英
院長
ロイヤルメルボルン工科大学健康科学部カイロプラクティック学科日本校卒業。B.C.Sc(カイロプラクティック学士), B.App.Sc.(応用理学士)。従来の筋骨格系障害としての腰背部痛から生物社会心理的要因としての腰背部痛へとシフトチェンジ。鬱や不安障害にも着目したマルチモデルでヒューマンケアしています。

首へのカイロプラクティックは危険か?

カイロプラクティックが首の不具合へ効果的であるとは言っても、施術は0リスクではありません。

具体的にどれくらいの危険性があるのか?を宝くじに当たる確率、抗インフルエンザ薬のタミフルや抗鬱薬、精神科入院など各療法の具体的に死亡リスクと比較して、各個人の判断材料の一つにしていただければ幸いです。

「首をボキボキされるのが怖い」という方はご一読ください。ただし施術は国際基準のカイロプラクティック教育を修了している施術者が行った上での確立になりますので、施術を受ける際の見極めにしてください。当然ですが「整体」の施術はこの記事の統計は当てはまらないのでご了承ください。

それでは大手メディアで話題になったアメリカでの死亡事故の解説からしていきます。

目次

首への施術は0リスクではない

ではカイロプラクティックはどれくらい危険か?

先ずは論争の火付けになったプレイメイツが死亡する事故について簡単に説明します。私は友人から「怖いテレビを観た」ということで報告を受けました。たしか2016年の10月くらいに記事になった内容です。

プレイメイト死亡事故、テレビ画面の切り抜き

カイロプラクティックの治療を受けてお亡くなりになった女性が雑誌プレイボーイのモデルということもあり、日本でもかなり反響を呼んだニュースです。(現地報道の一部)

TVを観ていた男性

カイロプラクティックって危ないよねえ??

2017年4月に某テレビ局が改めて「世界の仰天ニュース」として放映しました。報道番組をご覧になった方、噂で聞いた方も少なくないと思います。

この点に関してWHO基準のカイロプラクターの意見や反応があまりWeb上で見られなかったので、私としては何か言及する義務が少しはあるのではないかと感じ、敢えて取り上げてみました。

プレイメイトの事故が起きた背景と対応を推察

寝転んで考える女性(イメージ)

私は直接存じ上げないのですが、業界では実際に施術を担当したカイロプラクターは地元では有名な先生らしいです。

一般的にはメディアに出演したり、沢山の患者さんを診ている先生は有名な先生と呼ばれます。

私が事故が起きたその場所に居た訳ではありませんから、施術の前に実際にはどのような問診、検査が行われていたのかは不明です。

基本的にカイロプラクティック治療では、初診の患者さんには問診、既往歴の有無、血圧チェックなどのバイタルチェックを行います。

またBarre’ Leiou:Sign(バレ リュウ サイン)という整形外科検査を行うとされています。

このバレリューサインは放送で言われていた「椎骨動脈の傷害」や随伴する交感神経の障害で起こるバレ・リュウ症候が出るかどうか判断する古典的な整形外科学検査の一つです。

しかしバレ リュウサインという整形外科検査は、精度はかなり低いものです。

簡単な整形外科検査だけで的確に病態が発見できるのならば、医療機関で行っている高額検査機器は不要になってしまうので、当たり前と言えば当たり前ですが…

カイロプラクターは医療機関へ紹介するべきではあったが

被害者の女性は30代前半ということもあり、年齢的には椎骨動脈の不全が起きていることは珍しいです。

テレビ画面の切り抜き画像

1回目のカイロ治療後に肩こり症状が改善していないことは状況によっては珍しいことではないのですが、TV放映のように悪化しているような状況の時は医療機関に診てもらうような選択を検討する必要があったのかもしれません。

しかし30代前半の女性に椎骨動脈の重度のアテローム変性があるのは想像しづらい事は確かです。余程生活習慣が乱れていたのかもしれません。

椎骨動脈が壊れてしまうような血管状態であれば、日本で行われているような健康診断を毎年行っていれば、何らかの指摘をされるような状態が考えられます。(たとえば高コレステロールなど)

アメリカのカイロプラクターは州によっては血液検査もできると聞いたことがありますが、血液検査は行われたのでしょうか?私にはわかりません。

放送でも言われていることですが、この事故は極めて稀なケースでカイロdoctorの州免許の取り上げはしていないと報道されていました。このの意味を考えていきましょう。

死亡事故は”極めて稀”だが確率は?

頚椎への施術は日常的にお身体のメンテナンスでカイロプラクティックをご利用になっている方も気になるところだと思います。

この事故で言われている「極めて稀なケース」は実際どれくらいの確立なのか?日本カイロプラクターズ協会のホームページからの引用になります。

頚椎アジャストで脳血管障害が起きる確率
WHO指針に準拠した大学教育が公的に実施されている海外では、頚椎マニピュレーション(頚椎アジャストメントと同義)による脳血管障害の発生頻度は40万回に1回 、100万回に2~3回 、100万回に1.46回 、130万回に1回 、585万回に1回 などと報告されています

http://www.jac-chiro.org/research_05.html

論文にもよりますが数十万から週百万回に1度の確率で脳血管障害の発生リスクがあるようです。

カイロプラクティックが法制化されている国々では日常的に頚椎のマニピュレーションが行われておりますので、このような統計が出されています。

そのまんま

この部分を私なりにもう少し掘り下げて調べてみると、2011年にオーストラリアで調べられた論文が見つかりました。

内頸動脈解離が起きたケースを医療記録から取り出しました。55歳以下のオーストラリア、ニューサウスウェールズ州のハンター地域の脳卒中患者の医療記録を、内頸動脈乖離によるもの、他の原因による脳卒中と比較する研究です。

この論文が一番批判的に首へのカイロプラクティックが、脳卒中リスクや脳梗塞リスクを上げるとしている論文ですが、これによると

55歳以下への首へのアジャストメントは他の原因で起きる内頚動脈乖離による脳卒中より約23倍リスクを上げるという報告をしています。

結論として1/958回、施術後3週間以内に動脈乖離による事故が起きるとされているようです。
(この1/958の部分は有料論文の為、はっきりと確認できていませんが、この論文を引用した論文に表記がありました。

Thomas LC, Rivett DA, Attia JR, Parsons M, Levi C. Risk factors and clinical features of craniocervical arterial dissection. Man Ther. 2011 Aug;16(4):351-6. doi: 10.1016/j.math.2010.12.008. Epub 2011 Jan 20. PMID: 21256072.
男性

この論文の確率だと日本でも毎日、カイロプラクティックや整体の矯正による脳卒中などの事故が起きているはずだけど、ニュースは皆無、どうなんだろうね?

日本カイロプラクターズ協会が何故この論文を参考にしていないかは、後日確認してみようと思います。

死亡確率は0.000000268%

報告によりバラツキがあるようですが、日本カイロプラクターズ協会のホームページからは40万回から585万回に事故が1回起きうるという数値が出されています。

確率的には0.00025%~0.000017094%という事になります。

これは脳血管障害が起きる確率であって死亡確率ではないのですが、参考になる数値として挙げておきます。

そこで、この数値をどう考えるのかという事になってきます。

日本カイロプラクターズ協会のホームページの情報は出典がハッキリしない為、ご私自身で検索してみましたところ、2009年に行われたのシステマティックレビューがありました。

システマティック・レビューですから最上級の根拠となります。

エビデンスのレベルを表す三角(TMS-Japan提供)
体系的レビューによる脊椎マニピュレーションによる事故の確率

the frequency of serious adverse events varied between 5 strokes/100,000 manipulations to 1.46 serious adverse events/10,000,000 manipulations and 2.68 deaths/10,000,000 manipulations.

Gouveia LO, Castanho P, Ferreira JJ. Safety of chiropractic interventions: a systematic review. Spine (Phila Pa 1976). 2009 May 15;34(11):E405-13. doi: 10.1097/BRS.0b013e3181a16d63. PMID: 19444054.

とあります。40年間分PubMedとCochrane Libraryのデータから研究方法に関わらず集められたデータからの計算によると

重篤な有害事象の頻度は0.005%から0.000000146%の確率で変動し(研究によりバラつきがある)、死亡する確率は0.000000268%とある。

重篤な有害事象は動脈解離、骨髄症、椎間板押出、硬膜外血腫など。

とある男性医師

このリスクが高いと考えるか、低いと考えるかは人それぞれではないでしょうか。

死亡は年末ジャンボ1等が40回当選する確率

余談になりますが、年末ジャンボ1等の当選確率が1,000万分の1という考え方があるそうです。

ですから「年末ジャンボの1等が40回当選する確率」でカイロプラクティックによる死亡事故が起きると考えてもらえれば実感が湧くのではないかと思います。

この確率が本当だとすると、アメリカでのプレイメイトのニュースは「極めて稀なケース」と言っても間違いではないと思います。

どんな治療法にもリスクとベネフィットがある

カイロプラクティックや針治療といった代替医療もそうですが、西洋医療にもリスクは付きまとうものです。

目的の為に身体に薬やオペ、物理的な刺激を加えることは当然リスクを伴います。それは有益な結果を得ようとする手段でもあります。

さらに詳しいデータを知りたいかたはカイロプラクティックは危険か?のページをご覧ください。(別ページへ飛びます)繰り返しになりますが、これらの数値は国際基準のカイロプラクターの施術での数値です。法制化されていない日本の現状を考えるともっと高い数値になる可能性が高いです。

厚生労働省の意見は

この点で厚生労働省は何とコメントをしているのか。ここが議論になる内容なのですが、カイロプラクティックは皮膚を介して骨にコンタクトし関節を素早く動かします。その操作の中でどのような手技を行うのかがポイントです。みてきましょう。

一部の危険な手技の禁止

カイロプラクティック療法の手技には様々なものがあり、中には危険な手技が含まれているが、とりわけ頚椎に対する急激な回転伸展操作を加えるスラスト法は、患者の身体に損傷を加える危険が大きいため、こうした危険の高い行為は禁止する必要があること。

厚生労働省 医業類似行為に対する取扱いについて

青ラインの部分の「回転伸展操作」という表現です。国際基準教育の中で代表的なスラストは直線的で伸展を伴いません。やや専門的になるので解説しますと「標的になる関節は直線的に動かされ、伸展は危険である」という教育を受けています。

実際に大学教育での「頚椎スラストの単位テスト」は「回旋になっていないか、頚椎は伸展していないか?」という項目が最重要な項目になります。

事故の発生は頚椎が伸展して、回旋するときに起こりやすいからです。

単純に骨をボキボキ馴らすのを目的にするならば、頚椎を伸展させ回旋方向のスラストを行えば簡単に鳴ります。カイロプラクティックは「動かない関節を動かそうとして結果音が鳴ることがある、結果神経の流れが良くなる」というコンセプトです。

ここの部分は詳しく解説しますので別ページを書こうと考えています。

幸い統計学が発達している現在では少しずつリスクが明らかにされてきています。つぎのページではリスクとベネフィットの観点から手術や投薬などの他の医療行為と比較してみましょう。

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