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辛い腰痛…原因っていったいなに!?

巷では様々な腰痛の原因が語られています。

カイロプラクティックの臨床を10年以上行ってきた立場からすると、多くの情報は腰痛の原因として真実だといえるし、嘘であるとも言えます。

最近ではエビデンスに基づいた治療法が各疾患に対して行われていて効果の上がらない治療法は特に保険適応治療では淘汰されてきています。もちろん腰痛の原因を考える上でも重要な事ですよね。

カイロプラクティックのアジャストメント(骨盤や背骨の矯正)は急性腰痛や慢性腰痛にも効果があることが大規模調査で明らかになっていますが、理由は関節も腰痛の原因の一つだからです。

カイロプラクティックの臨床を10年以上行ってきて気づいたのは、腰痛の原因はいろいろな要因が組み合わさっているので、「腰痛の原因はコレ」という風にひとつに特定しない方が良いということです。

このページでは、これまで語られてきた腰痛の原因、例えば椎間板、骨盤のズレ、老化、腰への負担、筋膜、ストレス、脳、鬱など、カイロプラクティック臨床経験で気づいた腰痛の原因の実態をなるべく解りやすく解説していきます。

腰痛をわずらっている方やコメディカルを含めた医療関係者の方の参考になれば幸いです。

目次

  1. 腰痛の原因を探る
    1. ストレス
    2. 骨盤のズレ
    3. 椎間板の変形
    4. 老化
    5. 腰への負担
    6. 筋膜
    7. 欝(うつ)
    8. トリガーポイント
  2. 結論

1. 腰痛の原因を探る

最近、日本でも腰痛の原因はストレスであることがメディアでも取り上げられるようになってきました。

主要各国の腰痛ガイドラインにも「ストレスマネージメントが大切」ということで、特に初診時にストレスの有無を質問することの重要性が挙げられています。

オーストラリアの疫学研究によると、

腰痛発症率は30代が最も高く、全体の有病率は60~65歳まで増加するがその後徐々に減少する。危険因子として低学歴・ストレス・不安・抑うつ・仕事への不満、職場の社会的支援が乏しいなど。

参考:http://1.usa.gov/HmNaQO

日本の腰痛診療ガイドラインでは腰痛の原因としてストレスとの関連性が指摘されていますが、具体的な対処方法には言及されていません。

腰痛診療ガイドラインに掲げられているくらいなので、腰痛発症やギックリ腰から慢性腰痛へ移行する原因であることは確かです。

1-1. ストレス

ドイツでの生きた人間の筋膜研究では、ストレス環境下では筋膜が直接、痛み物質を放出することが判ってきています。ですからストレスというのは腰痛の原因の一つですが、ストレスだけ特にマネージメントすれば十分かといえば、急性腰痛の場合は可能だと思いますが、患者さんの満足度は低いものと考えられます。

亜急性期や慢性期の腰痛の管理にはストレスマネージメントだけでは不十分だと私は思います。

理由は2つあって、ひとつは実際に腰の筋肉にこわばりが出来はじめていることが多いことと、2つ目は脳が痛みを記憶し始めるからからです。

雑談presidentの医療の裏側特集、腰痛の原因にもあるように、無意識下で、腰の状態を脳がどう判断しているかが関係してくるからです。ですからストレスが腰痛の原因ではあるけれど、それだけじゃないと私は思います。

1-2. 骨盤のズレ

カイロプラクティックや整体院の状態を見ていると「骨盤のズレ」が腰痛の原因であることがよく謳われています。この骨盤のズレが腰痛の原因なのでしょうか?

先ずカイロプラクティックの立場から言えることは、少なくともカイロプラクティックの治療においてはズレを治している訳ではありません。関節の動きを取り戻すためにアジャストメントしています

それを踏まえた上で、レントゲン上での骨盤の非対称性についてのエビデンスは

腰痛患者144名と健常者138名を対象に骨盤の歪みを厳密に測定して腰痛との関連を調べた結果、どのような臨床的意義においても骨盤の非対称性と腰痛は関連していないことが判明。骨盤の歪みが腰痛の原因というのは迷信に過ぎない。

参考:http://t.co/iEvQzim

骨盤や背骨のズレではなくて、関節の動きを取り戻しています。

腰痛に対する脊椎マニピュレーションに関する論文58件をメタ分析した結果、3週間以内に腰痛が回復する確率は50~67%だった。急性の非特異的腰痛には一時的な効果があることが判明。

http://t.co/R9DMmIJ

この数値がなぜ60%前後なのか。これは患者さんの社会的環境がストレスフルな環境であると、
職場環境、個人的なストレス問題、もっと深刻な原因などがある場合は、それらが腰痛の原因なので、その環境やストレスにアプローチをしていかない限り回復に向かいません。

ですから腰痛の原因の一つである骨盤を矯正することで急速に回復に向かう場合も多いですが、そうでない場合もあると言えます。

重要なのは骨盤のズレだけが原因なのではなく、その背景に患者さんが直面しているストレスや環境がないかどうかを知る必要があります。患者さんの中には、ストレスや環境に自覚がなく、腰痛の悩みを訴えるケースもあるので、問診やコミュニケーションの中で確認していく必要があるのです。

1-3. 椎間板の変形

「レントゲンを撮って骨と骨の感覚が狭いですね。椎間板が潰れているので腰痛の原因は椎間板ですね。」というやり取りがあることは良く聞きます。果たして椎間板の変形が腰痛の原因なのでしょうか?

皆さん椎間板の摘出手術をしたけど、腰痛は残ったという話は聞いたことありますか?

統計的には手術の直後から1.2カ月ほどは痛みが少なくなることが知られていますが、その後はまた痛みが出てくるようです。

なぜか?椎間板が腰痛の原因ではないからじゃないでしょうか?

手術を受けた患者の5~50%は、症状がまったく変わらないか、もしくはさらに悪化する脊椎手術後不全症候群(FBSS)に陥る
(Bogduk N, Med J Aust, 2004)

国際腰椎学会のVolvo賞(車の安全性世界一が協賛している腰の骨の学会での最高賞)を受賞した論文を2つ紹介します。

物理的因子が異なる一卵性双生児をMRIで比較した結果、椎間板変性は仕事やレジャーによる肉体的負担・車の運転・喫煙習慣よりも遺伝的因子の影響を強く受けている (Battie MC. et al, Spine, 1995)

健常者の76%に椎間板ヘルニアが、85%に椎間板変性が存在し、手術適応との差は職業上の問題(仕事上のストレス・集中度・満足度・失業)と心理社会的問題(不安・抑うつ・自制心・結婚生活) (Boos N. et al, Spine, 1995)

とは言えカイロプラクティックの教科書の中にはSchwarzerらの研究による椎間板性腰痛があるとするものもあり、解剖学的には椎間板に回り込む痛み神経が有るという研究もあります。

一方で通常痛みに反応する自由神経終末の一部といわれているタイプⅣの関節受容器はワイク(1972)の研究によって椎間板に存在しないことも言われています。

このような解剖学的なことは解剖学者でないと実際に行えないところなので想像する以外にありません。

いずれにせよ臨床上重要なのは、上記の論文を参考にすると、腰痛が無い人の約80%に腰痛椎間板ヘルニアや腰椎椎間板変性があることから、私は椎間板自体が腰痛の原因ではないだろうという立場です。こういうヘルニアは無症候性のヘルニアと言います。

1-4. 老化

腰痛の原因は加齢という考え方もありますが、1972年の整形外科ムックによると腰痛の一番多い年代は40代だそうです。

10代20代の方からすると40代は倍生きている訳ですから老化が腰痛の原因とも言えますが、50代、60代、80代と年齢が増すにつれて腰痛は減ってくるわけですから、老化が腰痛の原因ではないということです。

ある程度年齢を重ねると腰痛くらいあって当たり前なのかも?という考え方もあるかもしれませんが、この研究から言えることは老化が腰痛の原因ではありません。

また別の研究、「慢性腰痛治療の現状と課題―患者と医師の対話の中で見えてくること―」では慢性腰痛患者の半数以上は何も治療をしていない理由を、『治療に満足できない』を上げていますから皆さん腰痛治療を諦めているのかもしれません。

これは医療機関への調査なので現代の医療システムでは満足できないのだと思います。

ところで何故40代に一番腰痛が多いのか?

理由は40代は社会的な立場も上がり、子供も成長して心理社会的なストレスが多いからです。

1-5. 腰への負担

腰への負担が大きいのが腰痛の原因なのでしょうか?これも統計的には嘘になります。例えば長距離選手のように腰に負担が掛かる運動選手の腰や椎間板は丈夫にできていることが知られています。統計的にも下記のように腰への負担が腰痛の原因ではないことが言われています。

重量物の運搬・前屈み・腰をひねる・振動を伴う仕事が腰痛の危険因子とはいえない。ストレス・遺伝・幼少期の環境などの心理社会的因子も評価しなければ肉体労働と腰痛の因果関係は解明できない。

参考:http://1.usa.gov/VbSili http://1.usa.gov/WKS6G0

しかし現実的には運動選手や重量挙げの選手、筋肉隆々の方や引っ越し業者の方の中にも腰痛持ちの方がいらっしゃいます。

臨床上気づいたのは、必要以上に腰の筋肉に負担が掛かる背骨や骨盤の使い方をしている方は、言い方を変えると上手く身体が使えていない方は特定の部分に物理的負担が掛かっているので、あるところまで(痛みの閾値を超えるところ)筋が硬くなると腰痛を発症しているということです。

勿論発症の背景には、その時のストレス状況も腰痛の原因の一つとして見過ごせません。

1-6. 筋膜

ここ数年、筋膜という言葉がメディアでも散見されます。

近年の研究からも筋膜からの情報は神経よりも数百倍速く伝わるなど業界にもセンセーションが起きています。

私もかなりの部分が筋膜からだと考えていますが、筋膜さえコスっておけば腰痛が解決するかというとそうではありません。

まず筋膜の概念的なところで考えなくてはならないのは、筋膜は1枚の膜ではないということです。

例えば腰の筋膜を考えてみます。

筋膜は1層の膜ではない

すこし専門的になりますが皮下組織(疎性結合層、膜様層、疎性結合層)、深筋膜(浅層、中間層、深層と分かれ、浅層と中間層はそれぞれ外層、筋、内層)に分かれていて筋肉が幾重にも重なっていますから腰で考えるのなら10層以上、場所によっては20層以上ととても沢山の層に分かれています。

多くの方がイメージするのは浅筋膜という皮下組織にあたる部分の膜です。

確かに皮下組織と深筋膜の部分が一番痛みを出しやすいところと言われているので、この部分は腰痛の原因の一つだと言えます。この部分に浮腫みが起きていないタイプの腰痛では多くの方が筋膜の遊びが極端に少なくなっています。

浅筋膜という腰痛の原因の一つが減らせれば、幾分腰痛が減ることは確かです。

けれども深筋膜の深層、そのさらに奥にある筋肉の浅層、深層などからも痛みは出ているので直接外部からリリースするのは極めて困難です。

ヨガやストレッチで筋膜を伸ばす

ヨガやストレッチなどで全体を伸ばしたりする方法を日々行うのも大切です。この場合特定のポイントに腰痛の原因になるような筋硬結がある場合はそのこの部分は伸び先ず、周囲が代償的に伸びることが多いです。

さて問題は何故その部分の筋膜が硬くなったのか?ということではないでしょうか。

簡単に言えば「その部分を固めて使っているから」ということなのですが、腰を柔らかく使うということは簡単ではありません。

私も物腰の柔らかい男を目指していますが日々創意工夫を重ねて少しずつ柔らかくなるのを目指しています。それは腰痛の原因を減らすことでもあります。

そして筋膜が硬くなっているということは筋肉も、その筋肉で動かそうとしている腰の関節、骨盤の関節も動かなくなっています。

筋肉が動かないのに関節が動くはずありません。ですから多くの場合関節の動きをとり戻す脊椎マニピュレーションも必要ですし、そこを動かすことを憶えるためのリハビリテーションが必要です。

1-7. 脳

研究によると脳は幾つかの部分が腰痛と関連していることが明らかになっています。部分に分けてみていきましょう。

DLPFC

先ず脳のDLPFCという部位の不活性が慢性腰痛の原因だと新しい研究で言われています。

脳の事はまだ解っていないことも多いですが、頭の前の方にあることから、思考や創造性、ワーキングメモリー、反応抑制、行動の切り替え、プラニング、推論などの認知・実行機能、高次な情動・動機、意思決定過程などの役割を果たしているパートの一部です。

一言でいうと「人間らしさ」をつかさどる部位です。

カイロプラクティックの臨床で理解できるのは、多くの慢性腰痛患者さんは会話をしていて、創造性や思考力、行動の切り替え能力が著しく低下しています。

頭の前のほうの役割として反応抑制もありますから、腰などから上がってくる情報の抑制も関係しているのでしょう。

ですからDLPFCの機能低下、言い換えると脳の前の方の機能低下は腰痛の原因だとえます。

程度の差はありますが、腰からの不快情報の割合(腰でない場合もある)と、DLPFC不活性化の割合の兼ね合いだと言えます。慢性腰痛が長いと脳の一部が委縮することも指摘されています。

脳だけが慢性腰痛の原因という書き方のWEBサイトも散見されますが、私は痛んでいる部位とのバランスで考えたほうが良いという立場です。

扁桃体

次に扁桃体(へんとうたい)とよばれる部分に注目してみましょう。

この部分は進化論に基づくと魚類からある古い部分の脳です。

もともとは外界で敵が出現した時に「逃げるか?戦うか!?」と判断をするときに反応する生命保存の判断を迫られたときに活性化する部位と言われています。いわゆる恐怖や不安です。

ここが活性化していると脳の痛みを感じる部位(特に社会的な痛み)とリンクしているため慢性腰痛の原因と言えます。

魚類から爬虫類、多くの哺乳類は外敵があらわれた時に活性化する部位ですが、進化の過程を経て霊長類ホモサピエンスは幸か不幸か言語を獲得してしまいました。

研究で解ってきたことは人間の場合は「言語」、特に否定的な言語に反応するようになりました。

例えば「北朝鮮との戦争」などという文章は不安を煽ります。このようなイメージが生まれるような言語は扁桃体を活性化させます

「一生腰痛だ」とか「腰痛が悪化したらどうしよう」というイメージ、言葉も扁桃体を活性化させます。メディアで悲惨な事件やニュースなどにさらされ続けることは腰痛の原因のひとつとも脳科学では言えます。

瞑想やマインドフルネスで腰痛が軽減するのは前述のDLPFCを含む前頭葉が活性化して扁桃体の活動を抑える命令が出されるそうです。ですから扁桃体は腰痛の原因の一つと言えます。

1-8. 欝(うつ)

先述の脳にも関係しているのでしょうが、脳には着目せずに鬱という状態で考えてみましょう。

この研究は身体の痛みの研究ですから腰痛だけに限りませんが、WHO世界保健機関の研究では鬱は腰痛の原因とされています。

WHOのデータから5大陸14ヵ国のプライマリケアを受診した25,916名の患者を抽出して行なった身体症状とうつ病に関する国際的研究によれば、うつ病患者の69%が主訴として筋骨格系などの身体症状を訴えていたことが判明。

参考:http://1.usa.gov/XrCo73

また腰痛にうつ病や不安が重なると腰痛の重症度が高いので、うつや不安にも焦点を当てていかないと腰痛の原因を除去できないことも研究で解っていることです。

腰痛の原因を探っていく上で初診時にストレスチェックや鬱っぽいかを枠組みに入れておくことは重要です。

海外の腰痛治療の枠組みにおいては常識になっていて、危険因子がイエローフラッグ、ブルーフラッグ、ブラックフラッグという呼び方をして回復が芳しくない時には腰の痛みから目を離して、職場の環境などが腰痛の原因であることに目を向けていくことが明確にチャート化して方向転換するように教育されています。

カイロプラクティックの臨床上抑うつ感が強い方には初診時の回復率が悪く、容易に中期化することが予測されます。

早期に認知後療法などの心理療法を提案することも大切だと考えています。

慢性筋骨格系疼痛・うつ病・不安障害の間には強い関連がある。精神疾患の併存は過去3ヶ月の活動障害日数と関連し、疼痛のみでは18.1日、疼痛+不安障害は32.2日、疼痛+うつ病は38日、疼痛+うつ病+不安障害は42.6日。

参考:http://1.usa.gov/vndBSW

1-9. トリガーポイント

筋膜とも関わるのですが、トリガーポイントという筋硬結(きんこうけつ)も腰痛の原因といえます。

筋肉の塊が腰にあるということは筋膜も硬くなっている、浅筋膜の遊びも少なくなっているからです。

多くの慢性腰痛は筋肉の塊を触知する事ができます。

研究によるとトリガーポイント注射に効果は少なく、一番いいのは指で押してあげること。そこの部分の血流を改善させることが大切です。ホット&コールドで局所的に温めたり冷やしたりするのも効果がありますが、指の力の強い人に押してもらうのが一番効果的です。

トリガーポイントは腰痛の原因ではありますが、根本治療を考えた時に何故そこにトリガーポイントができたのかを考えていかない限り解決しません。また同じ場所にトリガーポイントが出来てしまうからです。

筋膜の項で説明したように、トリガーポイントを起こしている筋に関連する関節にも影響ありますし、日常生活動作のリハビリテーションをしていかない限り繰り返しトリガーポイントが同じ場所に形成されることが予測されます。

「私は腰痛持ちで…」なんて話をする方は、リハビリテーションまでしていない方だと思います。

2. 結論

腰痛の原因は「これだ!」なんて決めつけないほうがいい。

私も含めて多くの方が単純明快な腰痛の原因を知りたいと思うところですが、腰痛の原因としては上記のような問題のバランスだとカイロプラクティック臨床を10年以上行ってきて感じていることです。

各項目共通しているのは血流が不足した場所が関係あるということです。脳活動も脳血流で予測しているからです。

普段の生活から身体を温めて血流に意識を向けておくことも重要だと思います。

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